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VOL.56/Nov,2001

INDEX
  1. コンクール結果
    !! 5位銀賞おめでとう !!
  2. ●REPORT●わたしのコンサート評
    番外編■「関西合唱コンクール」
    その1■第28回関西六大学合唱演奏会
    その2■福永陽一郎メモリアルコンサート「陽ちゃんといっしょin藤沢」
  3. LINER NOTES by Itoh Keishi
    〜秋深き田辺のキャンパス〜
  4. ●投稿●〜澁谷さんの長い休暇〜
  5. Nietzscheたいらちゃんの<ビデオを観よう!>
    第7回「ラヂオの時間」

  1. ●木寺洋介の合唱連盟便り●
  2. ●How do you do?●
  3. 鷲崎 春の演奏会情報
    −心の財産を見つけてみよう−
  4. ●練習予定●
  5. ●編集後記●



よどこんプラザ11月号
 ●関西合唱コンクール●銀賞受賞! 


コンクール結果

!! 5位銀賞おめでとう !!

   洲脇    片山    羽根    中村    蔵田    横山    鈴木    順位    賞

1  はも    はも    栗東    セコ    セコ    豊中    伊丹    セコ    金
2  セコ    豊中    セコ    豊中    栗東    よど    豊中    豊中    金
3  豊中    伊丹    豊中    伊丹    はも    大阪    はも    はも    金
4  伊丹    よど    よど    よど    豊中    セコ    よど    伊丹    銀
5  よど    大阪    はも    はも    大阪    栗東    セコ    よど    銀
6  栗東    セコ    伊丹    陽声    よど    はも    栗東    栗東    銀
7  陽声    栗東    大阪    栗東    秀明    伊丹    陽声    大阪    銅
8  秀明    秀明    陽声    大阪    伊丹    陽声    秀明    陽声    銅
9  大阪    陽声    秀明    秀明    陽声    秀明    大阪    秀明    銅


●REPORT●わたしのコンサート評
わたしのコンサート評・番外編

■「関西合唱コンクール」
於池田市民文化会館アゼリアホール(2001年10月14日)

(レポーター: Alt. 大西美輪)

10月から入団しました大西です。 さっそく、コンクールのステージにのせ ていただいた上、コンクールのレポートまで書かせていただくことになりまし た。
 石橋幼稚園に8時集合。コンクールは大学の合唱団の時にも参加していたの で、なんだか懐かしい感じでした。しかし、学生の頃はみんなで仲良く奈良か ら行っていたので、幼稚園の場所はかなりうろ覚え。 そこで早めに行こうと 奈良から6時過ぎの電車に乗っていました。 私を知っている人は誰もいない はず…と、電車の中でおにぎりをほおばっていたら、途中の駅から、“あれー、 ちょっと美輪ちゃん、こんな早くに何してんの〜?”大学時代のヴォイトレの 先生が…。 あ〜れ〜。 結局、先生もコンクールに参加するため、石橋幼稚園 まで一緒に。 かなりびっくりなスタートでした。

 幼稚園では、かなりじっくりと発声練習ができてよかったです。 早起きの おかげで、声もだいぶ起きていましたが、何だか優雅な朝の時間を過ごしてい るような気分で。 これからコンクールだけど、へんな緊張もなくて、ゆった り時間が流れていました。 数回しか練習に出てないわりに、歌うことに対し て不安はなかったです。 どちらかというと歌いたい気持ちのほうが強かった からかな。 そして、みなさんと一緒だから心強かった!ほんとに。 気になっ ていたのは、ドレスはいるかなあというのと(当日、ドレスとご対面〜だった ので)、楽譜落とさないかなあ(目立つやろなあ)ということでした。 ごめ んなさい。つまらんことで…。 でも、心配無用でした。 アルトの皆さん、特 に小松さん、いろいろありがとうございました。

 アゼリアホールのリハーサルでは、じわじわと緊張がでてきました。 やは りSalve Reginaの入りが緊張。 あとAd te clamamus のアルトの入りがむずか しい。 でも、この後におよんで、電車の中のおにぎりが消化済みのためか、 おなかが鳴りそう…。 ずみません。 でも、気になるじゃないですか。

 舞台袖にて。 前演奏者のはもーるKOBEさんの演奏がはじまり、平田先生が 振ってはるんだなあと。 袖からみえる先生の姿。 大学の時も、武庫女は平田 先生の指揮で、よく私たちの団の前でした。 なんだかなつかしい。 でも、聞 こえてくるのは混声合唱。 反響板の間から漏れてくる光を浴びながら、聞こ えてくる歌声はとてもきれいでした。 無理がなくてきれいな声。 薄暗く、肌 寒い舞台裏で聞いていて、なんだかあったかい演奏でした。
 さて、よどこんの番です。 ドレスを踏んでこけないように・・と注意しな がら、舞台の上へ。 ヒールのある靴なんて普段履かないので。。 客席がけっ こう明るいんですよね。 顔が見える見える。でも、歌っている時は集中。

 歌い終わって。 緊張のためか、やはり息がまわらなかったな。 でも、歌っ てよかったな。Salve Reginaの最後はかなり伊東さんがためてらっしゃったの で、どうなるんやろ、どうなるんやろ、息がつづかないぃという感じでした。
課題曲は練習で聞いているときから、きれいな曲だなあと思っていました。 コンクールで歌えなかったらもう機会はないのかも、と思うとよけいに歌いた くなってきて。 歌えて幸せでした。 気持ちよかったです。 おらしょは、な かなか自分の中で消化できていなかったのもあり、これからかなあと。 カク レキリシタンの想いとかはまだまだです。 でも、曲はとてもおもしろいと思 いました。 今まで歌ったことのない曲。 いろいろな要素がつまっていると思 います。 でもユニゾンはむずかしい。 同じ音だけど、シンプルだけど、おと がひとつになって、込められるものも大きくなる。 練習で、一つの音に声を 集めたとき、こんな感じ方もあるのだと新たな発見でした。 和音のことはよ く分からないのですが、おらしょではなんともいえない音の重なりが随所にあ って、、、もっとハマリたいです。 せめて今回は、最後の“まりや”はいい 顔で歌いたいなと思っていて、それはかなったかな。

 演奏後、伊東さんのお話があり、なかなかよい演奏ができましたとのお言葉 を聞き、ほっ。 待ち遠しかったお昼を食べ、再度ホールへ。 ですから、実際 に聞いたのは一般のAグループの4団目からです。 コンクールは大学・職場部 門しか聞いたことがなかったので、一般の合唱団はどんなだろうと。
 朝、5時起きというのもあり、舞台がゆれている瞬間も

あったのですが?私の感じたことを。
Aグループといっても人数が幅広いですね。 少人数でもよくがんばっている なあと思いました。 私が、一度歌ったことのある曲を演奏している団もあり、 歌う団、指揮により、こうもかわるのだと驚きました。 人数が少ないので難 しいのかもしれませんが、Cristallino Contoreは自由曲で音がぷちぷちきれ てしまうのが、気になりました。曲作りも関係あるのかもしれませんが。 私 の好みではもっと、横の流れを感じられたらいいのになあと思いました。
 創価学会関西コーラスは人数が多かったのもあると思いますが、声がびゅー んと飛んできてびっくり。(実際目が覚めました) 何かパワフルさを感じる 演奏でした。
 創価学会関西男声合唱団はとてもしっかりした演奏でした。 ゆるぎないと いうか。 土台がちがうよという感じで。 さすが。
 ル・ヴァン・エレガンテは黒い肩出しドレスをきていて、指揮者の方もエレ ガント。 声がきれいだったような。 選曲がよかったかも。 おもしろい曲で した。
 武庫女は丁寧に歌われていたかな。 クール・シェンヌもきれいだったと思 います。(聞いているときはいろいろ思ったんですが、忘れちゃうなあ。)
 布施混は少人数だけど、一人一人がしっかり歌えている印象が。 楽しくう たわれているのが伝わってきました。 ほのぼのといい感じ。
 Ensemble Reedはカラフルなシャツにネクタイと、かなり目をひきました。 しかも、ピアニストは、私の知っている方だったので注目。 課題曲はちょっ と間延びした感じがなかったでもないのですが。 自由曲。 ピアノ伴奏の効果 ありと感じました。 ぐいぐい歌がいい意味でひっぱられているのがよくわか りました。指揮者ものりのりで、なかなかよかったです。
 つづいて、指揮者が前で振らない団が二つ続きました。 アンサンブルとい う感じで、こういう形態もいいなあと思いました。 どちらも、かなり歌の上 手な方がいて、その方が中心になってひっぱっていくという感じでしたね。 Medieval Voiceはソプラノ、テナーの声がとてもはりがあって美しかった。 ソプはのびのよい声で、自由曲の子守り歌は、かなり気持ちよさそうでした。
寝る前にもう一度聞きたいかもと思ったくらい。 グレイス・シンガーズは楽 しそうで、みなさんのりのり。 ほほえましかったです。
 アンサンブルVineは伊東さんが振られるということなので、これは聞いてか ら帰ろうと思っていました。 声がきれいで、バランスがよかったです。 他の 団がわりとパートの誰かの声が聞こえてくる感じもあったせいか、合唱団とし て、ひとつになって、すぅーっとはいってきました。 私の中ではとても感じ がよかったです。 丁寧に歌われていたし。 やわらかく、あたたかい感じがし ました。 伊東さんの指揮が、無理なく声を引き出しているように思えました。
ここで、ああ“よどこん”に入ってこういう指揮のもとで歌えるのは幸せか もと思いました。 ソプラノはじっこに矢口さんに似た人がいる〜と思って見 てたんですけど、ほんとに矢口さんだったんですね。
 宝塚ゾリステンは立ち位置が妙につまっていましたねえ。なんだか窮屈そう でした。並び方も重要かなと

 結局、なにわコラリアーズの演奏も聞きたくなってしまったため、居残り? しました。 人数が以前みたときより増えている〜、とまず思いました。 演奏 はどっしりという感じ。 こちらもゆるぎがない。ここまでくると、結果も聞 いて帰らなきゃ。 何だか、学生時代とおんなじかも。と思いつつ。結果発表 まで。 かなり頭いっぱいいっぱいでした。 よどこんは…、どきどきするもん ですね。 銀賞!やったね。 講評してくださった片山みゆきさんのお話にふむ ふむと。 創造するって創(きず)を造るって書くなあ確かに・・・。

 ほんとになが〜い一日でした。 よどこんにはいってから私の中の合唱濃度 が最高に。 頭が爆発しそうなくらい、合唱にどっぷりと浸かった一日でした。
これだけいろいろな演奏を一度に聞ける演奏会ってめったにないかも。 審査 員の先生はほんとたいへんだと改めて思いました。 頭がさがります・はい。


わたしのコンサート評・その1

■第28回関西六大学合唱演奏会
於 フェスティバルホール(2001年11月3日)

【大応援団、フェスティバルホールに結集!?】

「文化の日」に『六連』へひーっさびさに足を運びました。 そら、なんたっ て我等がケーシさんモトイ伊東センセイが合同ステージを指揮すると聞いては じっとはしてられまへん。

十?年前、少し大きいんちゃう?と思われるステージコートに彼は「華奢な」 身を包んでステージ中央に登場し、数ヶ月前の「東西四連」で早稲田グリーが コバケンの指揮により披露した『さすらう若人の歌』を、堂々学指揮でタイヘ ン立派に演奏し切ったあの年の「六連」ことを鮮やかに思い出しているヤマサ キ。。。 昨日食べたモノのことは忘れるのに、ムカシのことはメッチャ鮮明に覚えてる のよ。ほんまイヤやわ。。。

しかし物持ち悪いヤマサキは、あの時の六連のパンフなんぞを流石に残してま せんが、もしやもしや・・・春チャンに聞いたら、得意満面の笑みでもって次 回の練習には持参してくれたりするんやろか。。。!? ごキョ〜ミあられる 方は是非ど〜ぞ☆

あの時のけーしサンが、今は黒のタキシードに身を固め、ステージ上に所狭し と並ぶ200人以上の学生サンを前にして棒を振り下ろす瞬間は、誰に何と言 われようとやはりとてもとても感慨深い、いや感動的な瞬間でございました。

今回、彼が学生サン達と演奏しようと選んだ曲はV.トルミスの『大波の魔術 』と『幼き日の想い出』。 10年前では考えられないような選曲。旧態然と した「おと」が一番色濃く残っているようにも思えた男声合唱の世界も確実に 変貌を遂げていってるな・・・と改めて思う「合同曲」でした。 そして、このどちらもが私にとってはとても思い出深い曲。

『幼き日・・』は、昨年の‘よどこん’演奏会で皆さんと一緒に歌った曲。 ああいった抽象的な音楽に初めて取り組んだ我等にとっては、とっかかりにも 苦労したし、暗譜にも大層苦労させられたよねー。 それでも、あの曲に取り 組んで演奏できたことは一つの大きな財産になってる。

『大波の魔術』は、かの‘なにわコラリアーズ’が一昨年のコンクールに引っ 提げていった曲で、初の「全国大会行き」を勝ち取った曲。(全国大会でも「 金賞」取っちゃったよね)関西大会でこの曲を初めて聞いた時のゾクゾクする ような興奮も忘れられない「味」。

それら、私の中に鮮烈な印象を残しているこの二曲を、大勢の男のコ達相手に どのような伊東ワールドに仕上げていきはるのか。 そういう関心の持ち方をする自分をふと振り返り、この十?年の間に、確実に 「伊東ワールド」といえるような音楽が彼の棒から流れ出していることに、こ れまた甘い疼きのようなものを感じて妙に嬉しくなっている自分を苦笑してお りました。

ところで、この演奏評を・・・とのことでPLAZA大編集長様からご指名頂 き、ここまでパチパチ書いて参りましたが、ここより本題は公開紙上に掲載さ れることで私のココロの中に育んでいる一連の「想い出」までもが公になるよ うな気がして(って、そない勿体ぶるほど大層なモンとちゃうけどな)、モー シワケないですけど今しばらく一人でコッソリ楽しませて下さいな。 (あっぶねぇー奴。。。) いやいや、この日の感想等、直接聞きにきてくださる分には全然構いませんヨ !貴方がイヤになるくらい力一杯「語らせて」頂くことでしょう。 御覚悟の 程!!(笑)

そうそう、あの日の会場では‘よどこん’メンバーにも多く会いましたが、み んな、「座席から身を乗り出し、胸で両手を固く握り締め・・・」ってな「キ モチ」で聞いていたんじゃ〜ないでしょうか。。。某Sネェーさんのように「 そのまんま」の姿勢で聞いていたかどうかはともかく。(大笑)

さて、これから12月にかけては、学生サンの演奏会たけなわ。

我等がけーしサンも陰に日向に八面六臂の大活躍。 12/15(土):同志社グリーを指揮して『白いうた青いうた』・・・なっ つかしぃ〜〜! 12/22(土):大阪大学混声合唱団を指揮してフォーレ『レクイエム』・ ・・うっらやましぃー!! そして、‘よどこん’在籍の学生サンもそれぞれもう一つの「自分の団」で、 仲間達と作り上げてきた音楽を力一杯披露して下さるものと思います。

是非是非、PLAZA今月号の「春ちゃんの演奏会情報」を片手に都合がつい たら、違う場所で色んな活躍をしている彼等彼女等の活躍を拝見(いや、拝聴 )しに足を運んでみませんか??

おっ、なかなかエエ締め括りや。。。 以上、物好き隊々員ヤマサキがお送り 致しましたっ。

<PS> パンフ掲載の‘よどこん’広告・・・ありゃ、広告料を半分返してもらわなあ きませんな〜。 「よどこん第14回演奏会/平成13年9月8日(日)いずみホール予定」 ・・・おいおい。


わたしのコンサート評・その2

■福永陽一郎メモリアルコンサート「陽ちゃんといっしょin藤沢」
於 神奈川県・藤沢市民会館大ホール(2001年10月14日)

藤沢の会場に辿り着いたのは3時10分、出番1番目の団の演奏が始まっており ました。市民会館のロビーでは、生前の福永陽一郎先生の文章を載せた音楽雑 誌やLPレコードや演奏会パンフの記事、編曲ものの楽譜、今では絶版の著書 等々が、多数展示されていて、それだけでも氏の音楽界での、飾らない活躍ぶ りを、たっぷり感じとることができるものでしたが、素晴らしいな!と思えた のは当日ステージで熱唱熱演されたかた達の幅広い年齢層でした。「湘南コー ル・グリューン」「藤沢男声合唱団」「早稲田大学グリークラブOBメンバー ズ2001」「法政大学アカデミー合唱団OB会」「同志社グリークラブOB合唱 団」「藤沢市民交響楽団」が、それぞれのステージで思い出深いお得意のナン バーを演奏され、合同合唱は、畑中良輔先生指揮、久邇之宜先生のピアノで、 この日のために全国から集まったひと達「陽ちゃんといっしょ合唱団」による、 ブラームスの「運命の歌」の大合唱。締め括りはオーケストラと合唱によるシ ベリウスの「フィンランディア」でした。福永陽一郎先生よりも年上?に見え るかたも、大学生くらいかなと思える若手さんも、みんなみんな、暖かい表情 で、声で、うたっておいででした。直接福永陽一郎先生をご存知であったひと 達が、直接には知らない若手の後輩等の仲間たちに「陽ちゃん先生。出会えて 良かった素晴らしいだいじなひと」という思いを込めて、「音楽」を通じて、 語り伝えているんだろうな、きっと。1年8ヶ月前に京都で聴いたステージも そうでしたが、この藤沢でも、ステージも客席も終始、多くのひと達の「心」 が醸し出す不思議な優しさに満ち満ちていました。

一介のしろうと合唱人の私には、あまり大した話はできないのですが(陽ちゃ ん先生のことなら伊東恵司さんの文章こそが素晴らしい情報源、よどこんプラ ザのライナーノーツを読んでみてください)、音楽の生産事業家でなかった時 代の指揮者がそうであったように、演奏会場で、そこから生まれる何物かを期 待していたわけでもなく、ましてやお金儲けをしていたのでもなく、一人の正 直な人間として自分自身の存在と対決していた、「音楽の時間を生きていた」 音楽家、福永陽一郎先生って、ご自身の著書で、実はご自身のことを書かれて いたんだね。音楽を、音楽する仲間を、「陽ちゃん先生」なりにこよなくいと おしんだひとであったことは、演奏、編曲等に触れたひとならおわかりでしょ う。恵司さんふうに言えば「いらんもん全然もっていかへんかった、名声であ るとか地位であるとか」の、音楽の道を歩まれるのは大変であったようですが、 「本当に大切なもの」は、今でも、音楽家がこの世に居たという歴史を映すか の如くに、存続していることが、こういうメモリアルコンサートでは、特によ くわかります。生前の活躍の日々の中で出会った「陽ちゃん先生」を思い慕う たくさんのひと達と、そのまたその仲間達の、ハートの暖かさ!
「You'll Never Walk Alone. あなたは一人ぼっちではないのですから 一人 だけで歩いているのではないのですから」という言葉が多くのひと達の心に、 いつまでも響いて生きて行く支えになっているのも、「陽ちゃん先生」の、苦 難も少なくはなかったけれども、本当に生きた音楽を演奏を目指して、いつわ りなく生きてこられた日々の賜物なのでしょう。

陽ちゃん先生、恵司さん、当日素晴らしい演奏を聴かせてくださった御一同様、 この演奏会があることを早々にお知らせくださった東京都内在住のK様、同日 午前中大阪でコンクールでうたっていた私を伊丹から無事羽田まで運んでくだ さった航空会社様、羽田から東海道線駅までの速い行き方をご教示くださった 数名のよどこんメンバー様、演奏会当日まで無数の作業に従事された実行委員 ご一同様、今回は完全に私の個人的な意思で聴きに行ったにもかかわらず、チ ケットを御用意くださり、ステージでは で聴きに行ったにもかかわらず、チ ケットを御用意くださり、ステージでは暗譜でうたわれ、現地で過分なおもて なしをしてくださった御仁、その他何かとお世話 いただいた方々、何もかも、本当にありがとうございました。


LINER NOTES

秋深き田辺のキャンパス

職場が京田辺のキャンパスに移ってから半年が経ちます。同志社大学の京田辺 キャンパスは私が大学一年生の時に開校しましたので、それから15年の歳月 が流れるのですが、当時赤茶けた地面と殺風景なだだっ広さが目立ったキャン パスが、今や豊かな自然の感じられるキャンパスに変身しております。開校の 時苗木だった樹が15年経ってちょうど成長してきたのです。樹が根付き、枝 を伸ばし緑が増えることによって、ようやく人が時間を過ごすための環境が整 いますね。
樹々のそばにはベンチがあり、夕暮れの風に舞う木の葉に視線を送ることが出 来ます。色とりどりの紅葉がキャンパスを彩り、ふとパソコンの手を止めると そのグラデーションに心洗われる思いがします。

…時は環境を育みます。
いろんな人と関わりながら「よどこん」も合唱団としての年輪を重ねてこれた でしょうか?
高校合唱のOBOG等を中心に構成されていた「よどこん」もそろそろ大阪に 根づく一般合唱団として独自のスタンスで音楽と向き合う雰囲気を作れる頃だ と思います。

新しいメンバー、古いメンバー、戻ってきたメンバー、…合唱団の周辺の環境 をも巻き込みつつ、「よどこん」カラーを丁寧に発揮しながらじっくり音楽と 向き合っていければと考えております。

さて、先日の関西合唱コンクールはどうでしたか?
「よどこん」としては納得のいく演奏が出来たのではないでしょうか。気合の こもった演奏になったように思いますし、私自身の感じるところ、昨年よりも さらに充実した音楽を披露出来たように思います。関西コンクール銀賞(総合 5位)は現状考えられうる最高の順位であったと思います。

もちろん、本番の演奏自体は「瞬間最大風速」とでも言うべき部分があったと 思いますし、選曲(課題曲の音域、ユニゾンの多い自由曲、自由曲の曲そのも のの良さ、、)の利もあったでしょうが、女声も美しく、矢口氏やPLを含め た努力の成果が出て嬉しい限りです。。

合唱界の現状を考えると「淀川混声」は関西の一般混声合唱団として今こそ頑 張り時。再三申し上げておりますが、「これからの合唱団として」がんばって いこうとすることによって、新しい次元を体感していける可能性があります。 ただし、ここから先の道のりには、大きな工夫や知恵が必要だと思います。キ ーワードはおそらく皆さんにもうあと少しずつ「自分たちの団に対して」の愛 着と積極性をもってもらうこと…ではないでしょうか?。歌わせてもらってい るという意識や、ああすれば良いのにという評論ばかりにならず、アイデアを 具体的にする力、推進していく力…、少しエネルギーは要りますが、全員が「 団に対して」働きかける場面が増えるといいなあと考えています。

(例えば)
1. 「よどこん」を担ってくれるべき人をたくさん集める。大人の団員と若 いメンバー、両方欲しいですね。(特に男声はあと10人は欲しい)。 2.練習に出来るだけきていただく(出来ればぴったり「頭」から)。 3.一人一人がもう少し上手くなろうという気持ちを強くもつ。 4.テープ作り、印刷、レク、連絡、…その他たくさんの団の仕事をみんなで 分担する。 5.その他

現象面では「はもーる」「豊中」とは声や選曲の難易度、組織運営にまだまだ 大きな差があるとも言えます。まずは団の活性化と人集めから。大きな器を作 って、豊かな音楽を育んでいきましょう。簡単にはいきませんが、新しい次元 への可能性に向けてチャレンジです。
PS
1)数えてみると10月には23日間(やりすぎ)も合唱練習をしており、冷 や冷やしながら倍速で昼間の仕事をしている?私ですが、その忙しさの最中に 引っ越しまでしており、「引っ越し貧乏」の状態でもあります(中古マンショ ンから中古マンションへ)。いまだにダンボールは山積み。しかしながら同志 社大学の今出川キャンパス+地下鉄まで徒歩5分、走って2分(ローカルに表 現すると天一の裏あたり)。窓から御所の樹々が見えます。

2)今年は、11月3日(祝)には関西六大学合唱演奏会で合同演奏を指揮し ます(した?)。ちょうど12年前のその日、私自身が学生指揮者としてマー ラーの「さすらう若人の歌」を指揮したことを思い出します。ピアノに長田先 生、トップテノールには広島+小貫という0.1トンコンビを連ねての破壊的、 衝撃的な演奏でした?。。。私本人は例によって微熱+体調不良ながらも、8 5名のメンバーを従え自信満々で指揮台に立っていたことを思い出します。( 当時の同志社グリーは「向かうところ敵なし」と呼ばれていた。。)
当時と比べると合同演奏も半分くらいの人数なのですが、もう一度六連のステ ージに立つことがあるなど当時は考えもしませんでした。何だか不思議な、夢 のような出来事です。

12月には締めくくり演奏会として、同志社グリークラブの96回定期演奏会 (12月15日/京都コンサートホール)と、大阪大学混声合唱団定期演奏会 (12月22日/アルカイックホール)で指揮をします。
大学生と合唱するのは私には非常に合っているようにも思いますし、恐らく人 前に立つという経験は有形無形の勉強になっているのでしょうが、今年やりす ぎたので来年はちょっと充電しないと…。。。

3)忙しい時に限って「何でもあり」の状態になるらしく、なんと!12月に 1コマだけ大学の講義に立つことになっています。科目はもちろん合唱ではあ りません。これがまた「映画学概論」(コンソーシアム)のゲストスピーカー。 何故か分からないまま行くことになってしまいましたが、私が一体何をすれば 良いんでしょう?。うーん、授業としてこんなことで良いのだろうか…という 気もする。はあ。。

いとうけいし


●投稿●
〜澁谷さんの長い休暇〜

 ベースの澁谷です。1年間も休んでしまいましたが、何とか復帰する事が できました。30年以上生きているとあちこち不調も出てきて人生突っ走るだけ とも行きません。何はともあれ、今後ともよろしくお願いします。  さて、気分を変えて 旅行記 といきましょう。

パリ
 北駅に着いてまず、人相がロンドンと全く違うのにびっくり。やたら体がで かい。それから黒人が多い。トイレにいるおばさんは凄い形相でわめいている が何の事か全くわからん。駅舎は恐ろしく古い・・・この緊張感が何とも気持 ちイイ。来て良かったと思う。
 タクシーと筆談の末20分ほどでホテルに到着。30室ほどの小さなホテルであ る。場所は、3階建てのアパートに囲まれたStPlacide通りにある。メイドさ んがカワイイ。
 翌朝。1泊の予定を早速2泊に変更し、街に出ようとしたが、ホテルを出て 角を曲がった瞬間に東西南北の感覚が無くなった。この街の道路は直角でなく 斜めに交わっている。バスに乗ったら狙いと逆方向に走り出した。右側通行に 幻惑されたのだ。いきなりあしらわれた。
 この日行ったのはパリ見本市会場。見本市というと企業向け、と言うイメー ジがあったが、ここの内容は中古車・ワイン・海外旅行…という具合でお勉強 は無し。目を引いたのは「バスタブ」のフロアで、2畳ほどある正方形の湯船 が百ほど展示されていたが、この国の湯船はただ大きいだけでなくご丁寧にも シャンパンを冷やすポケットがついている。これに家族で漬かるのが彼らの理 想なんやね〜。こんなのどこに据え付けるんだろう?
 この他、フォアグラを格安で食べたりしたが、わざわざパリに来てまで見に 行く様な催しとは言えず、全体的には余り面白くなかった。
 あとはモントルグイユ市場でタマネギやワインを買い、郵便局、カフェ、ス ーパー、街中のトイレ(使用法解らず)…と冷やかしているうちに貴重な1日 が終わってしまった。最初の海外旅行ぐらい意地を張るもんじゃない。ま、1 日で足りるわけもなく、次回はまともな観光を?

車中の人
 ホテルを予約したのはパリまで。ドイツに行く事だけは決めていたが、それ 以外は行き当たりばったりを決めこんで北駅へ向かった。最速でドイツへ行く 特急「タリス」は満席で乗れず、東駅発フランクフルト行きに変更。東駅まで 雨の中走らされる。しかし石畳で走れず濡れる。
 列車で相席したのはマインツ在住のRivoさん。
 S「パリでは扉を開けてあげたりすると、Merciとか言ってくれて良いです ねー」
 R「ドイツ人はフムフムフムって表情が良くわかんないですよー」
 始めは色々と喋っていたが、そのうち話のネタも尽きてきた。次の停車駅 Metzまで3時間もあり、会話を続けろという方が無理だ。風景は5月らしく緑 がきれいが如何にも単調。一向に町らしいものが見えない。人はゐないか…人 もゐない。一体どこまで連れて行かれるんだろう。ユーロのT/Cを換金し忘れ て現金が無いので食堂車に行くことも出来ん。
 退屈凌ぎに、旅先で知り合った人への土産にと買っておいた?月堂のゴーフ ルを取り出す。「ゴーフルじゃん。パリパリ。…うーん退屈ねえ」日本から持 ってきた物と思わなかった様だ。よくよく考えれば、元来彼の地の菓子で無理 も無い。なおパッケージは特に深い理由無く阪神タイガース仕様を採用したが これにも反応無し(何のこっちゃ…)。空腹凌ぎにも退屈凌ぎにも程遠い結果 に終った。
 土産はどうでも良いが、海外にいる人が日本をどう見ているか不安を感じる 出来事があった。前日見たパリ見本市の日本ブースである。ここに展示されて いたのは真珠で組まれた人形なのだが、こんな物どこにあるの?と尋ねたいぐ らい粗雑で、ブース自体も全く活気が無かった。どこから仕入れて来たものか 余程事情聴取したかったが、日本人はいなかった。そんな事があるかと思えば、 後日ドイツの列車で出会った女の子が「よろしくありがとうどう致しましては 知ってるの」と日本語で話して来たり、様々だ。
 さて、話を戻すと、Rivoさんは「日本らしい絵葉書が欲しいなあ」と至極ま ともな希望を述べられたので、後日姫路城の絵葉書セットを選んで進呈した。
 ドイツに入ると町と人が増えた。ライン川を渡るとマンハイムに到着。パリ から5時間かかった。
 列車を乗り換えると、コンパートメントにミュンヘンから来た老夫婦が乗っ ていた。ばあさんは元気が良く車内販売員など一撃で追い払われていたが、方 言でまくし立てるので、何を話しているかRivoさんも私もさっぱり判らない。 辛うじて聴き取れた事には、ミュンヘン方面で雪が降っているらしい。今日は 5月3日。

ドイツの街
 マインツで下車し1泊。翌日はミュンヘンに行こうと考えたが天気予報が雨 で諦め、特急ICEでハノーファーに北上して2泊した。パリで感じた様な緊張 感など全く無く、日本、そう「札幌駅に着いた感じ」とでも言う方が近い。駅 は滅茶苦茶きれいし、公園も広い。
 この時期は晩の9時頃まで明るいので、ゆっくり街歩きができる。偏見も含 めていかにもドイツらしく質実剛健と感じた出来事を書いておこう。
・ADAC 日本のJAFにあたる。サービスセンターを訪れたが、ここに置いてあ った「事故発生時マニュアル」という冊子は優れもの。事故発生時の応急処置 の手順が記されており、付属の届出用紙に両当事者が記入して警察に提出する 様になっている。内容もさる事ながら、多くのドライバーが全国共通同じマニ ュアルを持つ事の意味は大きく、事故現場で慌てて示談してしまうと言った危 険を減少させるだろう。日本でも保険会社任せにせずJAFあたりが作って普 及させて欲しい逸品。
 他にも「中古車購入チェックリスト」「罰金表」など面白い冊子があり、あ らかたの情報は揃う。別の見方をすれば、日本だと警察の広報が担当している ところまでADACが面倒を見ているわけで、巨大化し過ぎと言う感じもする。子 供の三輪車にまでADACのマークが入っているものがあって、その浸透度がわか る。日本の男の子が消防車やパトカーで遊ぶとすれば、彼の地の子供は「故障 救援ごっこ」なのだろうか。
・郵便局のデザイン 表看板から店内の内装、小包包装材などの商品まで、イ エローを基調としたビビッドなデザインで統一されていてとにかく目立つ。全 く同じ事が上のADACにも言え、サービスカーも救援飛行機もサービスマンの服 もパンフレットも黄地にADACの黒文字がバーン。実用本位と言うか何と言うか、 余りのコントラストの強さに目がチカチカしてきた。
 これと対称的に垢抜けているのがパリ市バスのカラーリング。車体は白とペ ールグリーンを基調とし、この車体にカラフルで洒落た行先表示板が掛けてあ る。オペラ行は緑、モンパルナス行はピンクという具合である。

レストランその他
 ロンドンでもパリでもおいしいものを食べたはずなのだ。が、覚えているの は余な事が多い。
 パリのレストランのウェイターなど、私が仏語のメニューを睨んでいる(≠ 読んだ)横からシレッと言うのだ。
 「ブイヤベースは一人分ではできません」
 日本語とは驚いた。
 「今日のお薦めは、…です」(何を食べたか忘れた)
 「普通の水も、飲みますか」

 「普通の水」か…。この店は本に載っているし、日本人が来るのだろう。意 味が解らぬままエイヤーと注文するより会話が成立する方が余程親切と言うも のだ。しかし妙なもので(お上りさん扱いしとるやろ…)と私の機嫌は斜めだ った。君はお上りさん以外の何者でもないのでは?
 味そのものが記憶に残っているのは、マインツで食べた肉団子のスープや、 特急のビュフェで食べたインゲンのスープなど、うすくちのもの。多分豚肉の エキスなのだろうが、それにしても味に違和感が全く感じられん…
 わかった!実はヒ○シマル醤油使とんちゃうん?(×)

 今回一番の収穫はホテルの朝食のパン。これからドイツに行かれる方、何は 無くとも朝食を食べる事をお薦めします。私の好みは芥子の実付きの軽いパリ パリとしたパンで、日本でも食べたいのだが見た事が無い。
 ワインは英仏独どこで飲んでも満足で、昼から飲んでいた。マインツのワイ ンショップの軒先では店主が常連客とグラスを傾けている。あんた仕事しとん ?と思ったが、「まあ飲め」と注がれたワインは「うーん、アミノ酸」という かんじで美味かった。ま、ワイン屋が自分で飲むのはおいしいワインだろう。 売れ残ったワインを仕方なく消費すると言うメンタリティが半分顔の赤いこの 店主にあるとは思えん。

魔の山
 ハノーファー2日目。ハイキングに行く事にして、電車で国立公園の方に向 かった。車中で会ったフレンドリーな母娘が「それならBrockenに行くのがイ イよ」と言う。その口調の滑らかさからは、誰でも知っている有名でメジャー なところであることが伺えた。持ってきた地図帳にも「眺望★★」の印がつい ている。
 この山はSLが頂上まで走っているが、これは帰りに乗ることにして、登り は2時間ほどの山歩き。会う人会う人 とコンニチハ、すビバせんねなどと挨拶し合うのも気持ち良く、子供の頃よく 行った六甲山を思い出す。ただし六甲の場合は道というより階段とでも言った 方が的を得ているのに対し、こちらは山道とは思えんほど緩く広い。自転車が 走っている。土も柔らかくとても歩きやすい。

 ところが、途中から霧雨。眺望★★どころかドライアイスの中にいる様だ。 かつて軍事施設であったというコンクリート打ちっぱなしの建物が霧の中に現 れると山頂に到着。ここは旧東ドイツで、ドイツ再統一までは入山禁止だった。 景色が全く見えない上に不気味で寒い。
 あとはSLに乗って帰るのだが、まずは冷えた身体を温めようとエレベータ に乗ると、階数ボタンの横に
  7. Cafe  8. Plattform
と表示が貼ってある。プラットホームが8階?妙な気がしたが「そう言う事も あるんだろう」と自分を納得させ、カフェで暖かいコーヒーを飲んだ。
 そして、いざ8階に上がったらやはり駅のホームなどではなくただの展望台。 先に駅の位置をよく確認しておかなかったのが災いした。慌ててビルの外に出 て駅を探そうにも五里霧中で動けず、ポーとSLの汽笛がどこからか響いて列 車は行ってしまった。汽笛音を頼りに霧の中を進むと、細道を入った目立たな いところにその駅はあった。ホーム一本の小さなもので駅舎は無かった。誰も おらん。大体、銀河鉄道999じゃあるまいし8階に駅があるか!
 ふてくされつつ1時間後の列車で山を降りる。もう車中の人と話す元気もな い。ハノーファーのホテルに戻ったのは夜11時。
 翌朝この話を聞いたホテルの主人は大笑いして、かの山は一年のうち260日 霧が出る・・・などと解説してくれた。有名というのはどうやら天候不順で有 名と言う事らしい。後日ガイド本を見ると、ゲーテのファウストに出てくる魔 女伝説で有名な魔の山だの魔女が毎年4月末に集会をするだの怪しげな事がキ ッチリ書いてあった。

 ところで「駅のホーム」はBahnsteigが正解。ドイツ語侮るべからず。旅行 会話程度なら困らんだろうという過信はここで木っ端微塵に粉砕された。ガク ッ(>_<)


Nietzscheたいらちゃんの <ビデオを観よう!>
第7回「ラヂオの時間」

 わたしはラジオっ子です。毎日毎日ラジオを聞きます。毎朝、『朝のバロッ ク』でお目覚め。そう、ヘンデルかバッハかシュッツかデュプレあたりが“お めざ”でございます。(おまえはどこのお嬢や。)情報はテレビからではなく、 殆どNHK−FMから収集します。音質がいいんですよね。テレビの音質とは 雲泥の差。ラジオでテレビ放送を聞けばよおくわかります。ちなみにうちの母 なぞ、NHKのニュースしか受けつけないらしく、それ以外は「聞こえない」 と申します。。流石は映像に頼らない、音だけが勝負の世界ですね。
 そのうえわたしは三谷さんの大ファン。で、これはみるっきゃない、と珍し く映画館に足を運んだ作品です。“密室”での作品が撮りたかったという彼の こだわりは、元々演劇畑の彼の才能を存分に発揮させていて、生放送中のスタ ジオに幽閉された人々によって繰り広げられる、まさに“劇的”な作品は、お 茶の間のビデオでも充分楽しむことができるでしょう。

 元々この作品は、三谷幸喜の劇団「東京サンシャインボーイズ」の舞台用に 書かれたのです。今や超売れっ子ドラマ作家となった彼の古巣は演劇なんだ、 ということを、作品は雄弁に物語ってくれます。まず最初のキャメラ・ワーク に圧倒される。ワンカットが“パン”で延々5分ほども続くシーンなんか、ほ んと上手いです。舞台演出やってるからこそできる技でしょうね。彼は演出の 腕もすごい。とにかく、一見地味ななんの変哲もないB級映画風なのですが、 よく見るとそうじゃない。彼の凄さは、実はその辺りにあるんですね。まずは ストーリーを紹介しましょ。

 平凡な一主婦みやこ(鈴木京香)の書いた脚本『運命の女』がシナリオコン クールに入選、そしてラジオドラマ化が決定した。そのリハーサルが終わった スタジオは、あとは生放送本番収録を待つのみ、最後の詰めやら挨拶やら休息 やらで過ぎていくはずであった。ところが。「盛りを過ぎた」ワガママ女優、 千本のっこ(戸田恵子)の一言から、脚本に修正を加えざるをえなくなる。身 勝手な役者たち、日和見の編成局長(布施明)、そしてその両者に挟まれつつ 調子を合わせるプロデューサー(西村雅彦)ほかクセの強いスタッフたちの込 み入った人間ドラマが本番中に繰り広げられ、脚本は、嘘が嘘を招く方式でま すます辻褄の合わないものになってゆく。もはや生放送は破錠寸前に・・・ラ ジオドラマ『運命の女』は無事放送終了できるのか!?
 まあ、女優というのは“ワガママ”と相場が決まっているのです。しかも、 “そこそこの美人”ほどワガママである。何故か?これを語りだすとまたプラ ザを席捲してしまいそうなので、割愛いたしますが、とにかく、千本のっこは まさにこの“そこそこの美人”。しかも「盛りを過ぎている」。彼女は、ヒロ インの名をリツ子からメアリー・ジェーンに変えるよう要求します。でなきゃ 出演しない、と。かくして、浜村錠(細川敏之)扮するヒーロー虎蔵は、マイ ケル・ピーターからさらにマイケル・マクドナルド(これは、あのポテトとか ハンバーガー売ってる『マクド』ですよ、念のため)に変更され、舞台は熱海 からニューヨークへ、さらにシカゴへと変更を余儀なくされる。図に乗る千本 のっこは、ヒロインの職業を弁護士に変えさせ、それならば、船乗りからパイ ロットへ変えないなら出演しない、と浜村錠も駄々をこねる。細川敏之さんっ ていえば、映像分野でも文句なしに二枚目俳優だったはずなんですが、ここで は限りなく“三”に近い路線をひた走っておられます。最近、テレビドラマで 犬の着ぐるみをかぶっておられたそうですが、きっとこの作品からおかしくな られたにちがいありません。
 そんなこんなで、脚本の本来の筋書きは、次第に支離滅裂になっていきます。 熱海の海での遭難シーンは、シカゴに海がないためダムの決壊シーンになり、 唐沢寿明扮するディレクターは、本番中にダム決壊の「どどーーーーッ」とい う音源を捜して奔走する羽目に。さらに。ヒーローが遭難するシーンは、辻褄 を合わせるため急遽ハワイ上空での飛行機事故という設定に変えたものの、放 送されるやいなや航空会社のスポンサーからのクレームに、万事休すのプロデ ューサーは、苦肉の策で、飛行機からロケットでの遭難に設定を変更せよとの 指示を下す。「宇宙だってハワイ上空だ!」。西村さん、相変わらず、いい味 出してますねえ素敵ですねえ!どこが素敵かって?勿論、顔ですよ顔。当然じ ゃないですか。でも彼は、世間一般ではどうも二枚目扱いされていないらしい。 。。何故?

   さて、鈴木京香扮する素人作家先生のみやこですが、はじめは素直にいうこ とを聞いていたものの、次第に諦めモードからついには半泣き状態に。当然で すよね、自分の思いの込もった大切な作品が、スタッフや俳優の都合だけでど んどん書きかえられていくんですから。それでも彼女は、自分は素人だから。 作品に手を入れられるのは、自分に実力がないから。と健気に涙を噛み締め、 生放送の行方を見守り、番組の無事終了するのを見届けようと我慢しま

す。しかしついに彼女の堪忍袋の緒も切れてしまう。彼女の物語の結末は、リ ツ子と虎蔵、否、メアリー・ジェーンとマイケル・マクドナルドが最後に再会 を果たすというハッピーエンドで、そうでなければならないのです。彼女のス トーリーはあくまでもハッピーエンド。それだけはどうしても譲れない、彼女 の最後の砦であった。それすらもが書きかえられる事態になる。マイケル・マ クドナルドは宇宙で遭難事故に遭ったことになってしまうと、当然生還できな い。かくして、メアリー・ジェーンは一人強く生きていく・・・。このストー リーに千本のっこが大賛成したことにより、ハッピーエンドはどこへやら。と うとうみやこは泣き出してしまいます。そして叫びます。「お願いですから台 本のとおりにやってください!!」。彼女の健気な訴えにも、誰も心を動かさ れないばかりか、素人のくせに生意気いうんじゃない!!と逆切れされてしま い、スタジオはますます冷たい雰囲気に。そしてみやこはついに武力行使に出 る、なんと、本番中の放送室に立て篭ってしまうんですね。この顛末は如何に ?!

 いつになく、あらすじを長々と書いてしまいましたが、ほんとにつまらない あらすじですね。筋書きだけ読んで映画見たいと思う人はいないでしょうね。 でもそれが、2時間釘漬けになってしまうんですから、三谷さんはやはり凄い のです。
 彼の風貌を、女優斉藤由貴は「“沖縄で生まれたモンチッチたすクマわる2 ”みたいな感じ」と評していますが、さらにパンダも加えて欲しいところです。 だいたいパンダって、あの体格でなんで笹だけ食って生きていけるのか・・・ とてもこの世のものとは思えませんが、彼もそういう感じ。とてもこの世のも のとは思えない。もし彼が宇宙人だったとしたら、結構みんな納得するに違い ありません。そんな三谷さんの手にかかると、まず俳優さんが皆、“三谷モー ド”になるんですね。どの俳優も皆それそれが、各々の“三谷オーラ”を発し ているのには驚きます。布施明はちゃらんぽらんな編成局長だし、渡辺謙もわ けのわからないトラック野郎になっているし、唐沢寿明でさえ、最後にはへん なポーズをとっているし。。きっとどんな二枚目俳優が出ても、「沖縄で生ま れたモンチッチたすクマたすパンダわる3」のオーラに感染しまうんでしょう ね。西村さんなんて、気の毒にもうすっかり染まってしまって・・・。ただ一 人、井上順だけは、野放し状態でますます絶好調に寒いギャグを飛ばしまくっ ていますが。 

 そんな俳優同士が繰り広げるやりとりは、なんだかこの人たちってみんな元 々気のおけない仲なんじゃないか、と思わせるほど雰囲気がよく、見る者を心 地よくさせます。実際は仲が悪いのかもしれませんし、この世界、そうであっ ても不思議はないのですが、それもこれもひっくるめて、三谷さんは自分のモ ードに染めてしまうんでしょうね。そしてそれは俳優だけでなく、作品を見る ものも、間違いなく彼にハメラレテイルに違いないのです。彼の発する“三谷 オーラ”は、終始作品の雰囲気に反映されていて、作品の鑑賞者も否応なしに それに感染してしまう。この作品が日本アカデミー賞を始め、数々の賞を受賞 していることも、そのことを裏付けています。要するに、審査員は皆、彼にハ メられてしまったんですね。そうとしか思えない。そういえばこれも斉藤由貴 が書いていましたが、パルコ劇場での芝居『君となら』の脚本ができあがった のは、なんと舞台初日の10日前だったそうで、でも結局誰も彼に文句をいうこ とができなかったそうです。

   彼が、最後の中で西村雅彦に言わせている言葉があります。 
「妥協して妥協して、自分を殺して作品を作る、それがオレの仕事なんだ。軽 蔑したけりゃするがいい。しかし、オレには番組を成立させる義務がある。い くらくだらない作品だって、最後まで放送する義務があるんだ。」
 そして最後のシーン。
「オレは時々虚しくなる。何のためにこんなことやってるんだろうって。何の ためにあちこちにへつらってくだらない番組を作らなきゃならないんだろうっ て。それでもいつかきっと、みんなが満足できるものが作れるはず、そう信じ てる。いつの日かはな。」
 泣けますね。三谷さんも苦労されたんですね。。そんなこと以上に、こうい う最後の決め台詞、西村雅彦さんの右に出る者はいませんね。挫折と孤独に苛 まれながらも、最後に精一杯の憎まれ口をたたいて去ってゆく、人生の悲哀と 苦悩を一心に背負った男。これほど演じ切ることができるのは、西村雅彦さん 以外にいますまい。ファンの期待を裏切らない見事な退場シーンに、それだけ で感動して泣いてしまったのは、きっとわたしだけではないでしょう。
 俳優を“三谷オーラ”漬けにし、さらにスタッフを感染させ、見るものをも ハメてしまい、「なんだか、人生そうそういいことなんてないけど、ま、それ もいいかも」→「人生こんなもんかな」→「こうだから人生なんやな」→「こ うでなくちゃなあ人生は」なんて思わせて、お仕舞にはなんとなくハッピーな 気分にまでさせてしまう“三谷マジック”。皆さんも癖にならないよう、気を つけてくださいね!
ほんとに恐るべし、三谷幸喜。 

P.S 終盤に出てくる、おひょいさんこと藤村俊二さんの“人間効果音”、 必見ですヨ。


●木寺洋介の合唱連盟便り●

大阪府合唱連盟21世紀ビジョン(第4回)

4.大阪府合唱連盟の問題分析

2章の「大阪府合唱連盟の現状」および3章の「アンケート集計結果」を踏 まえて、ワーキンググループで討議を重ねた結果、下記のような問題を抽出し た。

4.1 ジュニアの問題分析

  1. 少年少女合唱団は多数存在するが、大阪府連に加盟していない。

    少年少女合唱団は多数存在するが、地域の行政や小学校などとつながってお り、大阪府連に加盟しているのはわずか7団体にすぎない。
    また大阪府連にもジュニアを対象にした部門が存在せず、一般の中に入って いる。
    全日本合唱コンクールでも、ジュニアは一般部門から出場せざるを得ない状 況である。

  2. 少年少女合唱団に入った子供達は、中学・高校・大学の合唱部につなが ってきにくい。

    少年少女合唱団に入った子供達は、かなり高年齢までそこで歌い続け、中学 ・高校・大学の合唱団につながっていきにくい。

4.2 中学・高校部門の問題分析

  1. 合唱クラブは低調、大阪府連への加盟も少ない。

    大阪府下の中学校は524校あるが、大阪府連への加盟は22校、わずか4 %にすぎない。
    また、大阪府下の高等学校は274校あるが、大阪府連への加盟は22校、 わずか8%であり、更にコンクールに出場しているのは10校、3%にすぎな い。
    最大の課題は、指導者の問題である。
    生徒数の減少により専任教員数がますます減少している。新指導要領により、 音楽の教員数の減少はさらに深刻である。
    その結果、音楽の授業は講師が担当するようなケースもあるが、講師ではク ラブが持てず、合唱部の存在そのものが危うくなっている。
    また教師の高齢化、合唱に対する関心の低さなどにより、合唱クラブを持ち たがらない教師が増えている。合唱の講習会を開いても、低調である。
    中高の合唱部は指導者次第であることを考えると、現状は極めて厳しいと言 わざるを得ない。

  2. 指導教員の異動により合唱クラブがつぶれていく。

    せっかく有能な指導者がいて合唱部が活況であっても、「公平性」を盾に人 事異動が行われ、その結果、合唱部がない学校に配属された教師がやる気を失 ってしまう。

  3. 有力な合唱部は一握りであり、その裾野が育っていない。

    全国コンクールのレベルは年々向上の一途をたどっている。しかしそこで脚 光を浴びているのは、全体から見るとほんの一握りであり、それに続く裾野の 合唱が育っていない。

  4. 難易度の高い合唱曲は次々と出来るが、一般的な合唱部向けのレパート リーは依然不足している。

    全国コンクールを聴いて、若い作曲家や熱心な指導者は、より高度で新しい 合唱曲を求めるようになる。
    こうして脚光をあびる場にふさわしい難易度の高い曲は、次々と生まれてく るが、一般的な合唱部向けのレパートリーは依然、不足している。

  5. 合唱教育を推進する教師の育成が、音楽大学も含めて、うまく機能して いない。

    東北では「高校時代に充実した合唱部活動をした」→「音楽大学で勉強する 」→「卒業して教師になり、クラブを指導する」→「高校時代に充実した合唱 部活動をする」・・・という好循環が生じている。その対比で言うと、「高校 時代に合唱の喜びを感じたことのない人が音大に行き、音大であまりおもしろ くない合唱の授業を受け、卒業後も合唱には全く関心を示さない」という悪循 環が生じているとも言えよう。

  6. カラオケも含めると、歌の好きな生徒は増えているにもかかわらず、合 唱には関心が低い。

    いわゆる「合唱」と限定しなければ、歌の好きな生徒は増えている。カラオ ケなどは大好きであるし、テレビに出演する歌手達は羨望の的である。
    しかしながら、彼らは合唱にはあまり関心を示さない。
    このギャップを埋めるような対応を合唱界が十分、講じて来なかったのかも 知れない。
    彼らを合唱の世界に導くためには、旧来の合唱の観念を払拭するような方策 を講じる必要があろう。

  7. 大阪府連と中高の教師との間に距離がある。

    地方の合唱連盟は、中高の教師が担っている所が多い。関西合唱連盟、大阪 府連は、共に一般・職場・おかあさんの関係者が理事として多数活躍している ことから、中高に目が向きにくく、逆に中高の教師から見ると遠い存在に感じ る可能性がある。

  8. 次に中学固有の問題としては下記の点があげられる。

    中−(1)吹奏楽が優勢であり、合唱部の成立そのものが困難である。

    前述の通り、大阪府下の中学校は524校あるが、大阪府連への加盟は22 校、わずか4%にすぎない。
    ところが、一方で、吹奏楽連盟には229校、44%の加盟があり、顕著な 差が見られる。
    大阪府合唱コンクールは、16校の参加、半日で終了するのに対し、吹奏楽 コンクールは、府下を4つのブロックに分けて実施しているほどの盛況である。
    このように、部活動としての音楽活動は、吹奏楽に大きく水をあけられてい るのが現状である。
    この理由として下記のような原因が考えられる。 ・生徒数の減少に伴う音楽教師数の減少、高齢化 ・吹奏楽は式典などの学校行事に不可欠 ・吹奏楽部は高い楽器を購入しており、備品を無駄にすることができない ・吹奏楽連盟、楽器店などから、運営に際してさまざまなサポートがある ・音楽の教師が、合唱より吹奏楽の方に意識が向いている ・楽器を鳴らす方が「カッコイイ」し、合唱よりは、比較的、楽にそれなり の音が出せるようになる

    中−(2)学級担任が担う「校内合唱祭」「校内合唱コンクール」は多くの学 校で熱心に実施されている。

    一方で校内合唱祭、校内合唱コンクールは盛んである。学級担任が生徒指導 や学級運営の一環として、ほぼどこの学校でも熱心に取り組まれており、生徒 達の反応も良い。
    したがって中学校においては「音楽の専門性の追求」を主眼とした合唱のみ ならず、むしろ「心を合わせて人間関係を形成していく場」として、全人的な 教育の一環で行われる合唱にこそ、将来の発展があるのではないだろうか。
    大阪府連は、ほんの一握りの中学校の合唱部しか参加できない合唱コンクー ルにのみ注目するのではなく、教育現場における合唱の役割をしっかり見据え た各種施策が必要なのではないか。

    次に高校固有の問題としては下記の点があげられる。

    高−(1)中学校で良い合唱をしていた生徒を高校で受けとめられていない。

    少ないながらも中学時代に合唱部で歌っていた生徒が、高校へ進学しても合 唱部がない、あるいはレベルが中学より低いとやる気をなくしてしまい、そこ で折角の人材が埋もれてしまうことになる。

4.3 大学部門の問題分析

  1. 合唱人口が激減している。

    近年、大学の合唱人口が激減している。この原因は多くの要因が複雑に絡み 合っていると考えられる。
    まず第一に、キャンパスの分散化、昼夜開講、厳しい就職に対応するため資 格取得のためのダブルスクールなど、大学を取り巻く環境そのものの大きな変 化があげられる。
    第二に、拘束のある団体活動を嫌い、イベント系のサークル活動に流れがち であること。また気軽に楽しめるものが社会に氾濫しているため、クラブ、サ ークルそのものへの関心の低化があげられる。
    第三に、携帯電話も含めて、気軽に遊ぶためには資金が必要であり、そのた めにアルバイトに忙殺される学生が増えていることがあげられる。
    そして第四に次の項とも絡むが、合唱というジャンルが固定化、矮小化され たイメージになってしまっており、その結果、歌が好きであっても合唱には見 向きもしないという現象が生じている。

  2. 合唱活動に対する知識やノウハウが不足しがちで、活動が固定化、矮小化している。

    顧問や常任指揮者がついていない場合は、選曲、音楽づくり、運営など、さ まざまな面において旧態依然とした体質から抜け切れていないことが多い。
    小人数化していても、それに相応しい選曲がなされない結果、合唱の喜びを 感じることなく、かえって合唱離れを招きがちな傾向もある。
    歌の好きな学生でも「合唱」と聞くと、あまり良いイメージを持っていない ため、合唱部の門を叩いてくれない。

4.4 職場部門の問題分析

  1. 経済環境の激化に伴い、会社が合唱団を維持できなくなってきつつある。

    経済環境の激化に伴い、会社が合唱部を維持できなくなってきつつある。
    「合唱スカウト」の廃止、転勤による団員減少により、打撃を受けている。
    会社業績が団員数の増減に大きな影響があるため、昨今の不況下ではひじょ うに厳しい状況である。

4.5 おかあさん部門の問題分析

  1. 高齢化が進行しつつある。

    団体数は多いが、高齢化が進行しつつある。若いメンバーが入ってこない。

  2. 活動や選曲が固定化、矮小化する傾向がある。

    「おかあさん部門」という枠組みでくくられた結果、ややもするとその固有 の世界に安住しがちになり、活動や選曲が固定化、矮小化する傾向が見られる。

  3. おかあさんコーラス大会の意義、選考基準が不明確である。

    おかあさんコーラス大会は、全日本合唱コンクールとは異なり、音楽的水準 の高さのみを追求する場ではない。しかしながら、ではそれ以外の要素は何か ということについては、ひじょうに曖昧であり、そのことを、審査員と参加団 体・指揮者の双方が共通認識を持っていないため、そのミスマッチによる軋轢 が生じがちである。

4.6 一般部門の問題分析

  1. 経済環境の激化に伴い、勤労者の練習参加が困難になってきている。

    人員は削減されるが、仕事は減らないため、自ずと残業が増え、練習参加が 非常に困難になってきている。
    特に平日夜の練習参加は極めて厳しい。

  2. 大学の合唱団が低迷しているため、新卒の若い新入団員の獲得が困難に なってきている。

    かつては、大学で歌っていた学生が卒業して就職したら一般合唱団に入ると いうケースが多く、供給が比較的スムーズであったが、大学合唱団自体が低迷 している今日、その影響は一般に直接はねかえってくる。

  3. 新しい小さな合唱団がどんどんできるが、数年で失速する例も多い。

    大学で歌っていた学生達が卒業して、新しい仲間達と新しい合唱団をつくる ケースが増えている。その結果、少人数の合唱団がどんどん出来るが、新しい 合唱団の立ち上げと維持には相当の労力と知恵が必要であるため、途中で失速 する例も多い。

4.7 部門を超えて共通する問題分析

  1. 他の合唱団の演奏会、あるいは隣接する音楽領域の演奏会などに足を運 ぶ人が少ない。

    音楽の楽しみは、まず演奏者自らが楽しむことは当然である。しかし、より 大きな喜びを求めて自らが向上していくためには、他団の演奏会さらには隣接 する音楽領域の演奏会などに足を運び、音楽体験を深め、また他者と音楽の喜 びを交感し合うことが大切である。
    ところが、合唱人は、そのことに対してあまり積極的ではないように思われ る。
    これは演奏会を開く側の問題もはらんでいる。おさらい発表会的な演奏会、 自己満足的な演奏会では聴衆不在になるのは当然のことである。

4.8 加盟団体の推移から見た問題分析

2章で見た大阪府連の加盟団体数を。3年前の状況と比較すると、下表のよ うになる。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
│          │              2000/1997             │
│−−−−−│−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−-−│
│          │登録団体数│人数判明団体数│総人数 │平均人数│
│中学      │    78.6%│        76.0%│ 91.3%│ 120.2%│
│高等学校  │   104.8%│       100.0%│100.8%│ 100.8%│
│大学      │    96.6%│        96.4%│ 70.7%│  73.3%│
│職場      │    90.0%│        90.0%│ 86.0%│  95.5%│
│おかあさん│   117.3%│       117.8%│113.2%│  96.1%│
│一般      │   114.7%│       118.1%│111.0%│  94.0%│
│−−−−−│−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−-│
│全体      │   107.1%│       107.9%│103.7%│  96.2%│
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
中学は、3年間で加盟団体数を79%と大きく減らしている。ただ総人数は 91%にしか落ちていないので、比較的、少人数の団体が離脱していったと考え られる。
高校は、ほとんど変化しておらず、良くも悪くもなっていない。
大学は、加盟団体数は97%と何とか持ちこたえているものの、総人数は71% と、全部門で最も大きな減少を示している。当然の帰結として、合唱団の規模 は小さくなっている。このままいくと、やがて合唱団として成り立たなくなる 団体が増え、加盟団体数の減少という事態につながっていくと予想される。
職場は、加盟団体数が90%と、中学に続いて大きな減少率である。総人数も 86%と、大学に続いて大きな減少率である。かなり厳しい状況が現れている。
加盟団体数が軒並み減少していく中、おかあさんは117%と大きな増加を示 している。
一般も加盟団体数では115%と増加しているが、平均人数は94%であり、小 型化している。

4.9 大阪府連の運営から見た問題分析

  1. コンクールに偏重した運営になっていなかったか

    合唱連盟の「合唱観」が、ややもすると「全日本合唱コンクール」に偏重し すぎていなかったであろうか。
    「合唱」とはひじょうに多様なものであり、コンクールは、そのほんの一つ の切り口でしかない。大阪府連主体の事業が「コンクール」と「合唱祭」であ り、かつ「合唱祭」もベルトコンベアー方式の加盟団体の演奏が中心であるこ とを鑑みると、合唱の多様性に着目した普及発展活動が、やや乏しかったので はないか。
    また、アンケートにもあったように、コンクールで活躍するような「有力団 体、大規模団体に偏重」した事業展開に偏っていなかったか、今一度、吟味す る必要があるかも知れない。

  2. 全日本合唱連盟、関西合唱連盟の下部組織としての色彩が濃すぎなかっ たか

    大阪府連は、一義的には、府下の合唱団が寄り集まった集合体であり、その 意味では「草の根的」「ボトム・アップ的」であるはずである。
    単独の団ではなし得ないこと、持ち得ない力を、同好の志が集まることによ り、それを実現していくことにこそ存在理由があるはずである。
    全日本、関西の各種事業を実施するための下部組織として機能しなければな らないという立場上、ややもすると「トップ・ダウン的」「上意下達的」な組 織対応になりがちである。
    大阪府連の存在理由、理事や主事が加盟団体から負託されていることは何か、 今一度、問い直す必要があるのではないだろうか。

  3. おかあさん、一般、職場に偏重しすぎていなかったか

    加盟団体数の推移から見ても、おかあさんコーラスの隆盛は著しい。それに 伴う加盟費収入の増加やレディスコーラスフェスティバル、おかあさんコーラ ス大会など関連事業の隆盛は、連盟にとってたいへんありがたいことである。
    一般、職場も同様である。自ずとさまざまな事業が企画、実施されてきた。
    しかし、次の世代を育てるという観点からは、あまり収入はあてにならない ジュニア、中高の振興こそ、大阪府連が本腰を入れて取り組まねばならない課 題ではなかったのだろうか。
    そのつけがここに来て表面化したと見ることもできないか。

※提言はいよいよ佳境に入って参りました。次回は「5 21世紀に大阪府連 が果たすべき役割」の前半を掲載します。 ■


How do you do?

ぬかや ようこの
●How do you do?●

 みなさん、コンクールお疲れ様でした。2年連続の銀賞うれしかったですよ ね。私もなんだかよどこんに長くいるような気がしてましたが、考えてみたら 2回目のコンクールでした。 その割りにえらそうですよね(笑)

 さて、今月はソプラノ2名、アルト2名の新入団員を紹介します。・・・・ と思っていましたが、私の不手際でソプラノの2名の新入団員は次回となって しまいました。ごめんなさい!!私から紹介だけさせて頂きます。

※本コーナーはプライバシー保護のため、ONLINE版には若干の制限を加えています。


Infomation

●わしざきはるの演奏会情報●
−心の財産をみつけよう−

10月、「コンクールとブッキング!うわあー、惜しい。行けないぞ」だった はずの演奏会に、何と、行ってしまいました。実際、当日まで本当に自分でも 信じられなかった大移動をしたわけですが、会場では期待以上の佳き「音楽の とき」を満喫できました。まだまだ今後も素敵な演奏会が目白押しです、皆様、 ご興味ある演奏会には是非行きましょうね。

NOVEMBER・11月
11・日 神戸市役所センター合唱団 神戸文化ホール中ホール
24・土 全日本合唱コンクール全国大会大学・一般A 福島県・郡山市 民文化センター
25・日 全日本合唱コンクール全国大会職場・一般B 福島県・郡山市 民文化センター
29・木 佛教大学混声合唱団 京都府立府民ホールアルティ
DECEMBER・12月
1・土 同志社学生混声合唱団C.C.D. 森ノ宮ピロティホール
2・日 アヴィス・リベラ 東京・カザルスホール
8・土 合唱団葡萄の樹 洛陽教会
8・土 コードリベット・コール いずみホール
8・土 ヴォーカルアンサンブルEST
千原英喜「おらしょ」他
三重県文化会館大ホール
8・土 アゼリア
山添元子先生がフォーレレクイエムのソロをされます
京都コンサートホール小ホール
9・日 コール・セコインデ
・・・坂口和彦さんが指揮されます
伊丹市立文化会館いたみホール
9・日 お江戸コラリアーず 日本基督教団東京山手教会
10・月 関西大学混声合唱団ひびき 吹田市文化会館メイシアター
13・木 関西学院大学混声合唱団エゴラド 西宮市民会館アミティホール
13・木 法政大学アカデミー合唱団 東京・新宿文化センター
15・土 合唱団まい 長野県・松本市音楽文化ホール
15・土 同志社グリークラブ
・・・伊東恵司さんが指揮されます
京都コンサートホール大ホール
22・土 大阪大学混声合唱団
・・・伊東恵司さんが指揮されます
尼崎アルカイックホール 
23・日 同志社コール・フリューゲル 八幡市文化センター
24・月 第37回全同志社メサイア演奏会 京都コンサートホール大ホー ル
24・月 同志社混声合唱団こまくさ 長岡京記念文化会館
JANUARY・1月
19・土 大阪大学男声合唱団
20・日 みやこフィルハーモニック 京都コンサートホール大ホール
27・日 関西学院グリークラブ ザ・シンフォニーホール


 
●練習予定表●

10月28日(日)    ●13時〜17時  ミ−ド社会館

11月11日(日)    ◎13時〜17時  ★石橋文化幼稚園
   17日(土)    ●13時〜15時  善隣館(女声補練)
   18日(日)    ◎13時〜17時  相愛学園
   23日(祝)    ◎13時〜17時  相愛学園

12月  9日(日)   〇13時〜17時    ミ−ド社会館    
   15日(土)    ●15時〜17時    豊中すてっぷ(女声補練)
   16日(日)    ●13時〜17時    善隣館
   23日(日)    ◎10時〜16時    桜の宮ア−トホ−ル(X'mas-Partyを含む)

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【2002年予定】
1月13日(日)
  19日(土)
  27日(日)
2月10日(日)
  16日(土)
  24日(日)

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(注1) 〇印・・・伊東さん出席予定 ●印・・・伊東さん欠席予定 ◎印・・・伊東さん遅刻予定

(注2) 場所・時間が変更される事がありますのて゛ご注意ください。

(注3) ★印は、何時もコンク−ルの日に使用している通称「石橋幼稚園」ですが、秋 季は常用の練習場が取りにくく、窮余の策としての初登場です。 尚、正式名称は「石橋文化幼稚園」です。「石橋幼稚園」というのは公立で別 に存在しますので。

河渕



●編集後記●

次回のよどこんPLAZA Vol.57、1月号は2002年1月13日発行予定です。 原 稿締切りはその2週間前の12月31日です。 レギューラー執筆者の皆様、 今年の仕事を来年に持ち越さないようにしてくださいね。 また、他の皆様も 「こんな記事を書きたい」と積極的に名乗りをあげてください。 よろしくお 願いいたします。


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