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VOL.55/Sep,2001

INDEX
  1. 混声合唱のための おらしょ
    〜カクレキリシタン3つの歌〜
    コンクール用簡易解説書
  2. 演奏会マネージメント近況報告
  3. Liner Notes by Itoh Keishi
    LINER NOTES
  4. ●REPORT●わたしのコンサート評
    ■淀川混声合唱団 第13回演奏会
    於 いずみホール(2001年7月15日)
  5. ●REPORT●
    「物好き隊の夏休み」inシンガポール

  1. ●木寺洋介の合唱連盟便り●
  2. ●How do you do?●
  3. 鷲崎 春の演奏会情報
    −心の財産を見つけてみよう−
  4. ●練習予定●
  5. ●編集後記●



よどこんプラザ9月号
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   ●特 集● コンクール用簡易解説書
演奏会を終えて
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●特 集●

混声合唱のための おらしょ  〜カクレキリシタン3つの歌〜

コンクール用簡易解説書

時間が余りにもなかったので、簡単にしか纏められませんでした。が、カクレ キリシタンに関する資料は豊富に存在しますので、まぁ皆様ご自分でお勉強さ れた方がよく分かると思います…。ははは。

い)カクレキリシタンって何?
1549年に聖フランシスコ・ザビエルが来日し、長崎の平戸を拠点にキリス ト教の布教を行った。この平戸の松浦藩に属する島の一つに「生月」があり、 ここでは現在でもキリシタン信仰が特に根強く残っている(地図参照)。
楽譜の「おわりに」にもあるように、カクレキリシタンとは、キリスト教禁制 後(1614年〜)も密かにキリスト教信仰を守り続けた人々のことである( 「キリシタン」とは、ポルトガル語で「キリスト教徒」)。現在彼らは隠れて いる訳ではなく、当時布教されたキリスト教とは異なる、独自のキリシタン信 仰を守っている(世界的にも"KAKURE-KIRISHITAN"の呼び名は認められている。
しかし日本語で表記する際は、「隠れ」とすると実際に未だに隠れて信仰生活 を送っているような誤解を受けてしまうおそれもあるため「カクレ」と、片仮 名表記にすることが多い)。

ろ)現在のカクレキリシタンの信仰構造

  1. :重層構造…一家庭に四ないし五つの祭壇があり、色々な神を祭っている( 「現在のカクレキリシタンの神類型」の項参照)。

  2. →これは、カクレキリシタンが仏教、神道を隠れ蓑として生き延びてきたため であり、それが長い年月を経て信仰生活の一部として取り込まれるようになっ たのである。
  3. :祖先崇拝
  4. :現世利益(「オラショの分類」の項参照)

  5. →キリスト教は本来「来世中心主義」である。
     しかしカクレキリシタンの人々の最大の関心は、家内安全、無病息災、豊作 ・大漁満足などにある(まさしく「現世利益主義」)。これは、現代日本の仏 教や神道を始め、多くの新宗教の特色と一致しており、来世における救いを求 めることは稀である。
  6. :儀礼中心主義…教理の意味理解、という側面には殆ど関心を示さず、これ まで伝承されてきたものを忠実に継承するということに努めている。

  7. …つまり、日本の民衆宗教に普遍的に見られる特色を、すべて典型的な形で備 えた極めて日本的な民俗宗教の一つに変容している、といえる。

は)現在のカクレキリシタンの神類型

  1. :カトリックに由来するもの…マリア、イエス・キリスト、デウス(主なる 神)など
  2. :土地の諸神仏
  3. :殉教者(先祖)、死霊様等の死者霊
  4. :知覚できる物的存在としての神…ロザリオ、十字架など

に)オラショって何?
オラショとは、カクレキリシタンたちが語り、歌う「祈りの言葉」である。ラ テン語の“Oratio(祈祷)”が訛ったものである。

ほ)オラショの分類
オラショは、テクストの面と朗読・歌唱の面でそれぞれ分類ができる。
〈テクスト〉
・伝承オラショ:カトリックの伝統的な祈祷文に由来するもの
・創作オラショ:現世利益を願ったものであり、霊的救済を求めるものではな い
〈朗読・歌唱〉
・歌オラショ(オラッシャ):オラショの中でも、旋律を付けて歌われるもの
・オラショ(ご誦、御経文):オラショの中でも、ただ声を出して斉唱するも の

へ)オラショに関する雑学
 カクレキリシタンたちのオラショは、集落によってかなり異なっている。例 えば生月のカクレキリシタンたちはオラショを声高に唱え、時には節をつけて 歌うが、その他の地域(外海、五島列島)のオラショは黙唱(口の中で唱える )である。また、言葉や節回しも地域によって異なる。
 潜伏時代(1644〜1873年…国内に宣教師が一人も居なかった時代)には、厳 しい検索をおそれてオラショを筆写することは稀であった。明治以降はメモの 形で筆写することも行われたが、それはあくまでも記憶のための個人的な手立 てであり、もともとオラショはすべて暗唱されるべきものであった。しかし現 在では、オラショを印刷することも行われるようになった。
 オラショを唱えるカクレキリシタンたちは、その言葉の内容を吟味したりオ リジナルのラテン語やポルトガル語の意味を知ろうとすることは全くなく、た だ機械的に唱えていくだけである。布教された当時の、キリスト教の教えを伝 え、また、神を賛美するというオラショ本来の機能は失われ、唱えることそれ 自体に意味があるとされている。

と)II楽章の前半に出てくる《ぐるりよざ》秘話
 元になるラテン語のテクスト"O Gloriosa Domina"は、現行のカトリック聖 歌集には載せられていない。これは、16世紀…つまり宣教師が来日していた 時代に、特にスペイン、ポルトガルの地域で愛唱されていた特殊なマリア賛歌 なのだ(千原氏がこのテクストのことを‘忘れられた’聖母賛歌と言っている のは、これによる)。
 ここに載せた楽譜を参照にして頂ければ分かるが、もとの旋律Bと実際歌わ れているAを比較すると、音階的にも装飾音の点でも著しく日本化している( Aの「一部」「山田」は地域名)。しかし、完全に日本化されている訳でもな く、旋律の上り下りの動き、また音程関係の点で、原典のラテン語聖歌を意識 して、純ヨーロッパ的でも純日本的でもない、いわば中途半端な形勢をとどめ ている。これらの特徴は《ぐるりよざ》のみにとどまらず、他の歌オラショに 関しても同様である。  

〔参考文献〕
(1)宮崎賢太郎、『カクレキリシタンの信仰世界』
        東京大学出版会、1996年。
(2)遠藤周作、アイリーン美緒子スミス『かくれ切支丹』
        角川書店、1980年。
(3)遠藤周作、『沈黙』   新潮文庫、1981年。

…長崎の地図は(1)より、"O Gloriosa Domina"の楽譜は(2)より転載した。 ちなみに(1)は、カクレキリシタンを「生月島」を中心に纏め上げた名著(だと 思う)。(2)は遠藤周作、皆川達夫などが文章を寄せ、また、アイリーン美緒子 スミスにより、生月のキリシタンたちの写真が数多く収められている。(3)は、 言わずもがな遠藤氏の代表作の一つ。

やぐちなつこ    


<演奏会マネージメント近況報告>

「第13回演奏会を終えて」

(第13回演奏会実行委員長 糠谷ゆきひろ)

第13回演奏会実行委員長の糠谷です。
演奏会が終わって一息ついたやいなやもうコンクールですね。 またそれが終 われば次回の演奏会へ向けての練習。 演奏会マネージャという仕事はこれま では「季節労働者」的なものだったのですが、単にある一定の期間だけ断片的 に取組むという発想だけでは、団のニーズには対応できなくなってきたようで す。 まして、よどこんのステップアップ3年計画最後の年ですから、1年を通 じて意欲的に実力向上をめざしているみなさんが歌いやすい環境をつくれるよ うな体制をつくれるよう努めなければと考えます。

従来演奏会実行委員の仕事は随時というものでしたが団員数(オンステメンバ ー)の獲得そのものが、演奏会予算に直結する団員募集は通年(演奏会の3ヶ 月ほど前まで)でありこれまで演奏会が終われば募集広告の掲載、ビラはさみ などをしてきましたが、団員獲得のための具体的な戦略をねることも必要です ね。
従来のやり方を踏襲するだけのやっつけ仕事とならないよう長期的な視野をも って取組めればと考えます。。

さて、今回はじめて実行委員長として無事演奏会を終えることができホッとし ています。 このような場を与えてくださったみなさんに感謝します。 レセ プションでは皆様から労いの言葉をいただきありがとうございました。
実は名ばかりの委員長でフットワークが重くて大した仕事もしていませんが演 奏会の成功は、スタッフみんなの活躍のおかげです。
今年はサブといいながらほとんどやってくれた北浦さん
情宣の島田君、阪本君、そのもとで観客動員に頑張ってくれた末松さん
会計の喜田さん、同級生の木場君
パンフでアイデアを提供してくれた音田さん、杉田さん、内山さん
レセで中心になってがんばってくれた菊川さん
本当におつかれさまでした。 毎回斬新でインテリジェンスなデザインでよどこんのセンスを際立たせてくれ る、T&Tデザインラボの皆様にも大変感謝です。
撤収時間の件では当日皆さんが迅速に行動してくださったことと、ステージマ ネージャーの森さんの見事な機転と状況判断のおかげで無事死守できました。
しかし来年また同じホールでやるならば、もっと余裕のあるタイムテーブルで、 いずみホールの雰囲気を楽しめるような、また、観客にも演奏会そのものに来 ているという、休憩にビュッフェでワインでも軽く飲んでもらえるような優雅 な雰囲気を楽しんでもらって、「また来たいな」と思わせる演奏会にしたいで すね。

振りかえるとたくさん問題点は残されましたが課題として次回にできるだけ活 かせるようにしたいと思います。マネージャーは皆がどうすれば力を発揮でき るか、イイ演奏ができるか、という環境整備に努めるべきこと、それはメンタ ルな面でももっともなことです。 それにはまだまだ至らない点ばかりありま すががんばりますので、長い目で見てやってください。

さて、気になる観客動員数ですが、バルコニー以外はほぼ観客は埋まった結果 673人です。
ロビーマネージャーの向井さん当日お手伝いの弓庭さん、植木さん、遠藤さん ありがとうございました。

うち、OBOG、休団中の方々の招待券入場は23組
他団の招待状入場は19組
当日券販売30枚でした。

ちなみに最終チケット調査(前日)では624人でしたので、実際動員数から上 記を除くと、「確実」と予定していた人たちのほぼ9割が当日足を運んでいた だいたことになります。天候もよかったせいもありますが、我らが指揮者の昨 今の活躍、雨森先生の話題性、情宣部隊の活躍もさることながら、団員自身の がんばりによる観客動員力が確固たるものになりつつあると言えるのではない でしょうか?おそらくリピーター(よどこんのファン?)を獲得しつつあるの では。これは今後の立派な財産です。 もちろん当日券売り上げ30枚は快挙で す。 本当にありがとうございました。

以下今回全体を見渡して、場当たりてきな対応が多すぎ反省すべき点が大変散 見され、みなさんにご迷惑をおかけしました。

以下改善できる課題点などを列挙しましたのでまた次回に活かせればとおもい ます。

  1. 開演時間の設定見直し

  2. リハ〜開場最低4時間、本番〜退室まで最低2時間半、インターミッションはで きるだけ長くとりたい。演奏時間の見込みを早期に把握。

  3. 招待状宛先数の見なおし

  4. 260件おくっていますが効果はOB23組、他合唱団19組です。 切手代だけでも 2万円ほどかかることですので、再検討の余地はあります。 今回、前回の来場 招待客データを残してあるので、次回はこれを活用してみます。

  5. 情宣活動の合理化

  6. 今回チラシの印刷枚数は12000枚でしたが、情宣責任者が的を絞ってチラシ挟 みを実施してくれたことにより、3000枚余りがでました。さらに次回は関混連 など、集客力のある演奏会に絞ることと団員の手元に残ったチラシの数などを 勘案すると無駄を事前に防ぐことは可能です。ちなみに団員が配布したチケッ ト合計は780枚しかありませんでした。これで670余りの観客を動員できたので すから再検討の余地は充分ありますし費用削減効果にも充分直結することがで きそうです。パンフレットの枚数も再検討余地があります。

  7. メディア広告の活用

  8. 音楽の友、合唱祭、ハーモニー、ミニコミ誌を引き続き活用、また費用をにら みながらスペース拡大も検討したい。他方、その効果を確認できないか、例え ば当日券客のみに受付窓口で口頭でアンケートをとってもらうことも検討した い。

  9. ITの活用

  10. ホームページ充実、リンク、掲示板の設定など。 団のHPに演奏会情報が載っていないのは非常に問題です。
    団内でも沢山の方々がEメール環境をもつことから想像するとインターネット での情宣効果の可能性は計りしれないものと思われます。 ただしHPは作る のは比較的簡単でも維持管理するのに非常に労力のかかることですからマネ会 でよく検討したいと考えます。

  11. チケット調査の徹底

  12. 専属の担当者必要と思われます。
    パンフレットの印刷枚数など、払い戻し客の推定など費用にも直結することで すから早期の着手と全体の把握が必要でした。いつも直前になるまで全体像の 把握ができず狼狽してしまっていますので多いに改善の余地があります。
    また事前に観客層の把握はできないか。例えばリピーターの数、合唱関係者の 数など これが把握できればチケット調査結果の見込み数に対する掛け目の設定は可能 でより、精度が上がると思われます。
    またチケット調査票のフォームの作成など→メールでできないか? などなど工夫の余地はあります。

  13. パンフの情報収集前倒しに

  14. 企画の内容はその年の何かに因んだもの、内外での話題性のあるものを前回、 今回と設定しました。今回の「映画」は大成功だと思われます。 次回もこの 路線でいければと思います。 ただ、個人情報の収集に大変パートマネージャ の手を煩わせますので、早期の着手は必要ですね。今回は個人写真収集の着手 は比較的早くできたと思われます(北浦さんが今後のために画像データとして 残してあります)。

まだまだ反省すべきところは足りず、皆さんからのご指摘があれば光栄です。
マネージャー会議でもいろいろ議論する予定であります。 それからぜひぜひ 我も演奏会のマネージに参加したいとか、いいアイデアがありましたら遠慮無 くおしえてください。


LINER NOTES

季節の変わり目のひとりごと

夏の終わりをしっとりと告げるように(ある種の諦めのような情感を含む)雨 が降り、学期が始まったために高校生で込み出した電車に乗って雨を眺めてい ました。そしてその車内に傘を忘れてきました。(こんな時の傘はコンビニ傘 ではない、わりと気に入っていた傘なんですよね。)

ぼんやりと考え事をしていたせいです。 思うのですが、私の人生の中から「探し物をする時間」と「ぼんやりする時間 」を削れば恐らく人生の何分の1かが有意義に過ごせる時間に変わるのではな いでしょうか。物事に優先順位を付け効率的に考えて遂行していけば、きっと いろんなことに対してさらに充実した取り組みが出来るのでしょう。もちろん、 そうはいかないのが人生であることなど重々承知しているのですが、、、そう やってため息ついたり嘆いたりしている間にまた時間が過ぎていきます。

今年の7月も8月も駆け抜けるようにして過ぎてしまいました。7月には充実 した演奏会を体験出来ましたし、その後、シンガポールでの国際シンポジウム 参加(なにわコラリアーズが招待団体として演奏)を始め様々な体験を得るこ とが出来ました。しかしながら能力以上の仕事と忙しさに押しつぶされるよう にして、いったい夏が何時の間にやってきて何時の間に去っていくのかと感じ る間もなかったように思います。 咀嚼する間もなく食べ物をほうばっている 状況でしょうか。

今年は海にも入れなかったので(浜辺を歩くことは出来ましたが)、次年度以 降の私の人生設計を見直したい気もいたします。(疲労気味)

さて「おらしょ」はどうですか? 少ない音を使って豊かな響きを得る。とい う合唱のスタイルは今までに我々が体験しにくかったことではないでしょうか ?(トルミスなんかはその方向ですが)

千原秀喜氏は、海外の合唱コンクールの課題曲作曲などで国際的に注目を浴び る関西在住の作曲家です。少し前に「唱歌(しょうが)」を発表された後、「 おらしょ」「志津歌」が立て続けに出版され、全国の合唱団によって歌われ始 めています。東海メールクワイアーの委嘱新曲が「東海道中膝栗毛」であるこ とからもお分かりのように、千原氏は作曲上の発想に独自の方向性を持ってお られるように思います。
各地のトラディッショナルな音素や韻律を利用し、イマジネーションで合唱音 楽としての肉付けをされています。ユニゾンと完全5度ハーモニーを中心とす るシンプルな音の組み合わせから豊かな響きが得られるような合唱曲作りです。

「よどこん3ヶ年計画」では、3人の最先端の客演指揮者(若手)を招くとい う発想で、関西ではほとんどお目にかかれない立派な指導者をお呼びしていま すが、平行して、現存の邦人作曲家のここ数年の作品をひとつづつ取り上げて おります。(松下「子猫物語」)(鈴木「もうひとつの顔」)、、、次なるタ ーゲットとして千原氏を狙ってみた訳です。。。単に邦人曲というだけでなく、 作曲家の作曲傾向の同時代性を丁寧に選択することによって、「合唱の現在」 がほんの少しでも垣間見えることを心がけたく思っておりましたし、将来的に は夢である委嘱作品のおぼろげな輪郭を探ることにもつながります。 一般の合唱団として関心を持ちたい範疇をよどこんでも意識しているというこ とがお分かりいただければかとも思います。(意識してるだけ?)

コンクールは結果ではありません。 良い音楽を得るために努力しましょう。 そのプロセスで良い体験が出来ればと思います。
忙しいから逆につくづく感じるのですが、合唱や音楽それ自体は、本来人生や 生活を豊かにしてくれるものだと思います。
様々なことを共に学び感じ発見しながら自分たちの「心の世界」を広げて行け たら良いなあと、常に思っています。良い体験をするには、ぐっとがんばらな いといけないこともたくさんあると思いますが、少しずつの「背伸び」をしな がら、少しずつ前に進んでいきましょうね。「よどこん」がどんどんと魅力的 な合唱団になるよう、みんなで成長していきたいものです。

PS
シンガポール航空の制服良いですよねえ(意味なし。疲労ゆえ)

いとうけいし    


●REPORT●わたしのコンサート評
わたしのコンサート評その1

■淀川混声合唱団 第13回演奏会
於 いずみホール(2001年7月15日)

お久しぶりです! M@ソプ@休団中 です。
辣腕編集長大浦さまから「バリバリ身内の感想を!」とご指名いただき、不肖 ながら定演の感想などを書かせていただきます。
一部、MLで流させていただいた内容と重複しますがお許しのほど・・・。
 ちなみに今、台風11号が上陸しつつあり、PCが落ちやしないかとハラハラで す(笑)。

■よどこんとの出会い(回想) よどこんとの出会いは遡ること、去年のなにコラの定演でした。
そこにはさまれていたチラシを見て(某お姉さまとは違い、性転換は発想でき なかったので)、この指揮者が振る混声を聴いてみたい!といずみホールに足 を運びました。
 1ステからさぶいぼ立ちました(爆)。日本語を歌うって、こういうことやっ たんや!と。
チケットを送ってくださった団長には後日申しあげましたが、「日本語を母国 語とする日本人で良かった」と心から思った演奏でした。
そこですっかり惚れこんでしまって、無謀にもお仲間に入れていただき、一年 間、ラテン語や難曲にひーひー言いながらも楽しく歌わせていただいていまし た。

■そして今年の演奏会
 ところがどっこい、諸事情により6月の合唱祭を以って休団することに。今 年の定演はまたまた聴衆として参加(トホホ)。
当日、1ヵ月前とどれだけ変わったのかなぁ〜と思いながらいずみホールへ行 きました。

 まず1ステ。世界の歌。
 「合唱祭でも演奏したよね?! なんで1ヵ月でこんなにこなれたのよ?」 といい意味で裏切られました。特に私のユーウツの種であった退屈なソレラム、 けだるさを目指すあまりダレダレになりそうなジャマイカン・フェアウェル、 この2曲の仕上がりに驚きました。退屈でもダレダレでもなかった。
大好きな「Brumarsch Fran Jamtland」もしのぶ姉さんの活躍が光り、 Duerume Negritoは敏ちゃんの慈愛に満ちたソロが光り・・・。
アフリカン・ノエルはよどこんここにあり!(?)というほどのノリで、パー カッションの田中さんが素敵な素敵な花を添えてくださって、とてもいい演奏 だったと思います。

 そして2ステ。
 レクイエムはやっぱり思ってた以上に大曲でしたね。雨森さんのダイナミッ クな曲作りは想像以上で、まぁ音楽が動くこと動くこと!(みなさん、お疲れ さまでした・・・)
 本番に出ていないのに敢えて言わせていただくなら、あの曲こそ暗譜できた ら良かったんじゃないかなぁと思います。そうしたらもっともっと雨森さんの 指揮を楽しめたのでは、とエラそーに思ってしまうような「勿体なさ」の残る ステージでした。きっと「全く不可能」じゃないからこそ、勿体ないって思う んでしょうね。

 そして3ステ! 大好きな大好きな「もうひとつのかお」。
 これは言葉にできません。だって客席にいたけれどずっと一緒に歌ってたん だもの。客観的になんか考えられないです!
 ちなみに私も大好きな「愛」、合唱の「が」の字も知らない愚妹も「「いい 曲やったねぇ・・・」。
なにコラなどいくつかの演奏会に連れていってるのですが、シロウト(=妹で す)は面白いですよ。曲のことなんか何もわからないから、どこがどーだとか 言語化できないんですよね。だからこそイマイチな演奏だと「なぁ、ここって うまいん?」って言うし、いい演奏やと「めっちゃいい! 素敵!!」って。 はっきりしてます(笑)。そのシロウトを唸らせたのだから、このステージの 演奏が良かった!って私が思うのも、単なる身贔屓だけではないのではないで しょうか?

 最後にアンコール。
 「空」は最後まで指揮者のリンクの意図が見えず、ただただ「死」に反応し てしまい、私個人にとってはきつい曲だなぁの感想しか持てませんでした。ご めんなさい。

■全編通して思ったこと(雑感)
【アルトの底力】
 今回の特筆すべきはアルトの健闘! ちょっと人数が厳しい男声をサポート するかのように、アルトが入ると土台が締まり、オイシイところでは洩れなく 「聴かせる」! ソプラノも歌いやすかっただろうなぁ・・・。

【暗譜の威力】
 学生時代、暗譜は原則だった私にとって、暗譜にこだわらないよどこんの在 り方は正直なところ意外でした。(って言っても、じゃあ何で暗譜がいいのよ ?と聞かれると窮してしまうのですが・・・学生時代の「刷り込み」かしら? )
 しかーししかし。今回の演奏会で再確認! やっぱり暗譜はいいです! 顔 が上がる、表情が違う、もちろん歌も前へ出る!! みなさん色々な事情の中 で練習なさっているので難しい面もあるでしょうが、できるなら暗譜です!( 下に続きます)

【去年のよどこんとの違い】
 去年のよどこんは、確かに心奪われました。が、誤解されるのを承知で敢え て言わせていただくならば、今年ほど音楽が前に出てきてなかった気がします。 みなさんとってもいい表情でそれは楽しそうに歌ってらっしゃったのだけど、 自己完結型というのか・・・どこか「あちら側で歌ってる」って感じだったの です。TV画面の向こう、というか。で、「私も向こう側に行きたい!」と入団 させていただくことにしたのですよね。
 でも今年はなんだか違う。違ってたと思う。単なる自己陶酔や自己満足では なく「伝える」という感じがしたのは私だけでしょうか。暗譜効果だけではな いかもしれませんが・・・。
 あぁ、早くよどこんに戻らないと置いてけぼり食っちゃう・・・って危機感 持ちました(笑)。

【我らが指揮者伊東さん♪】
 今年はなんだかとってもお忙しくて、プラザ前号でしのぶ姉さんが書いてた ように「いのちけずって」るところが痛々しく(笑)・・・反面、合唱祭での 高校合同演奏や同志社こまくさ&フリューゲルの合同演奏で、いい音楽を作ら れていることに、正直、ちょっと嫉妬してしまっていました。
 けれど、定演当日ステージに登場した伊東さんは、そのどちらでも見せない 表情で振ってらしたように思いました(気のせいじゃないよね?>伊東さん! )。まさしく「ホームグラウンドに帰ってきたぞ」っていうような表情の柔ら かさと、いい感じの緊張感と。そんなものを感じました。
 客演指揮のときや○にコラでの演奏を聴いて「よどこん振るときって、絶対 あんな背中してないよな・・・」と一緒にジェラシーしてた方にお教えしまし ょう。一番カッコいい背中だったよ!!

 長々とごめんなさい。
今回、オンステはできなかったけれど客席でずっと一緒に歌っていました。 だから長年の夢だった、「自分の本番を生で聴く」という贅沢が実現できたよ うな心境です。

 ステージに乗ったみなさん、いろんなところで支えてくださった方、実行委 員の方・・・素敵な時間をありがとうございました。

 またいつか帰ります。頑張って追いつくようにするから、やさしく迎えてね (笑)。


●REPORT●
『物好き隊の夏休み』

 隊長:平、隊員:ヤマサキで構成される「物好き隊」が何を目的に してだか シンガポールへと飛び立ったのは、世間がお盆の大移動を始めた頃。
「本隊」の誰一人、日本を離れていない中、とっとと「淑女のバカンス」に勤 しむべく?関空を飛び立ちました。
 私達の目的?・・・「本隊」=「なにわコラリアーズ」のアジアデビューを ライブで聴く(いや、見る!?)こと。それが目的でシンガポールまで行っち ゃうことを、世間の辞書では「物好き」というのでしょう。 しかも、本隊の 誰からも誘われてへんのに。。。放っといてーやー、ナァ〜平隊長!

 しかし、私は声を大にして言いたい。
 言うヒト言うヒト、老いも若きも皆、私が今回の物好き隊結成の首謀者だと 思うておる。 ちゃうんやなー。
 5月の「なにコラ」演奏会で、かの松下耕センセ編曲の『八木節』にすっか り心を奪われた平隊長が 休憩時のLavatoryで「行きましょ!」と目を輝かせ て「迫って」きはったんです。いや、ホンマやでー。
 そして、その場の勢いやろ・・・と半分タカをくくっていたヤマサキは、あ る日の練習後、5センチもの厚さになるシンガポールツアーのパンフ数十部を 得意げに袋から取り出す平隊長を見て、「このヒトについていこう!」・・・ そう思てしもたんです。(やはり、隊員になる資格はあったか!?)

 しかしながら、私は生まれて初めて、隊長は十年ぶり?くらいのシンガポー ルで、ただただ 「なにコラ」のお尻を追っかけてるダケというのも全くもっ て芸が無い、と思い至り、パンフを見まわしてみると私ら淑女にピッタリの場 所がそこここに踊ってますがなー。
 その中で選ばれたのが「ビンタン島」・・・昨今、どうやら日本資本もかな り流れている?らしいリゾートアイランドで、シンガポールから高速船で45 分のインドネシア領。

 関空を夕方の4時半に飛び立ち、シンガポール到着が同日夜遅く。その日は 大人しく、ホテルからの夜景を楽しむだけにとどめて(って、目の前のホテル しか見えんかったが)、翌日のビンタン島行きに備えました。
 シンガポールで迎えた最初の朝、せっかくだから。。と、安いタクシーを乗 り回し、まずはイスラム寺院に足を延ばし、妙に商売上手な絨毯屋のおっちゃ んがいたアラブストリートをブラブラし、ちょっと街歩きをしてみた。そうし て出てきた「屋台村」へ。 シンガポールでは、衛生上の目的から屋台は数ヶ 所にまとめられ、私達がタマタマ足を運んだところも そんな一角。決して「 美しい」とはいえない環境ではありましたが、私ら淑女は妙にアドレナリンの 巡りがよくなってきたカンジで、汗をダラダラかきながら「市場」的な食材屋 を前にヒャーヒャー言うておりました。マンゴー、美味しかった!
 ここからホテルへ戻ろうとしたところで突然雨に襲われ、すぐに拾えたタク シーに飛び乗ると、嗅いだことの無い臭いが・・「香しい」匂いには程遠い・ ・・もしや!? そう、初めてのドリアン体験でした。おいおい おっちゃー ん、トランクに乗せて走るなよー。ただ、この時期は旬を過ぎているとのこと で、ハンパなドリアンを食べて 折角の初体験を台無しにするのも勿体無いと 思い、コレを口にするのは又次の機会に見送りました。。。え?隊長、「また 」行くんスかぁ〜!?

 お昼にビンタン島行きの現地係員にピックアップして頂き、いざ!!!着い て早々、平隊長は「泳いできます!」とホテル目前のプライベートビーチに飛 び出して行った。それにしても、ホントに美しい砂浜。これよ、これこれ!! 淑女にピッタリの、白砂広がるビーチだわん。
一泳ぎしてこられた隊長は、部屋に戻るなり、ビンタン島へ渡る直前に買い 込んだビールを片手に 優雅に羽根を伸ばしてはりました。片や隊員ヤマサキ は口あけて鼻からは提灯が。。。ありゃりゃ。

 翌日、朝から泳ぐゾ!という隊長の勢いにノセられて、私も10年ぶり?く らいに水着に着替えてビーチへ! あぁ・・・海が私を呼んでいるわっ。しか し、淑女は慌てない。屈伸運動、上体反らし、首・手首・足首・腕をぐるんぐ るん振り回し、アキレス腱を伸ばして・・・ふっふっふ、淑女の優雅さとは程 遠い、ほとんど体育会系。
 海は美しかったーーー。10年以上ぶりに「海」で泳ぎ、思わずムカシ水泳 部だった頃(というても小学生時代だが)の記憶が蘇ってきた。泳ぎましたが なー。‘ぴちゃぴちゃ’‘ぷかぷか’なんて泳がれへん。岩が見えると そこ を目標に気が付きゃ〜必死になって泳いでる。波に逆らって鍛えながら泳いで みたり、挙句の果てにはクロールなんかで浜へ向かってスピード競ってみたり。 あ〜ゆ〜所に浮き輪も持たずに行くだなんて、失敗ね。
 淑女に似つかわしい1時間の「特訓」を終えたヤマサキは、隊長を一人海に 残し、ビーチに建つ 優雅な屋根つき板間に敷かれたマットレスに大の字にな り、そよぐ海風に撫でてもらいながら読書に勤しんでたハズが・・・ 気がつけば、開いた口からはヨダレが。。。ありゃ〜??  午後3時からは三時間の全身エステ。これぞ淑女の正しいリゾートの過ごし 方。(パンフに踊らされる物好き隊・・・) ハイ!隊長のお体はぴっかぴか に磨きたてられてはりました。 片や隊員ヤマサキは翌日に発疹が出てきて。。 。なんでやねん。

 ホテルの従業員のお兄サン達は殆ど皆、「たいへん」愛想のいいどこでも挨 拶してきてくれはる陽気な方たちで、大概が新婚夫婦か親にナイショで来てる カップルかファミリーという客層の中、淑女二人連れは 彼等も声をかけ易い のか、二晩ともディナーでは最後の客になってしまうまでレストランに居残っ てしまった我等ですが、美味しかったよね、それなりに!毎晩、つい動けなく なるくらい食べてしまっていたのが、なんとも淑女らしい。。。

 それにしても、バカンスというものは かくも早く時間が過ぎ去ってしまう ものか。。。一日半の滞在はアッという間に終わり、私達は本来の目的である 「なにコラ」の演奏を聞く為、ツアー行程を特別に切り上げ 朝イチの便でビ ンタン島を後にし、再びシンガポール上陸。ホテルに荷物を置き、『アジア南 太平洋合唱シンポジウム』会場へ。おぉ。。。よーやく「本題」だっ。
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 本題のその前に。
よーやくここまでたどりついてくださったみなさま。話の腰を折るようですが、 ここで平よりお詫びと訂正がございます。
上記「隊長:平、隊員:ヤマサキ」は誤りでございます。 当隊、正しくは、親衛隊長:ヤマサキ+付録:平隊員(ヒラタイイン)で構成 されておりました。そうです、平は名のとおり、ただのヒラ隊員でございます。 ???と思われたみなさま!当惑させてしまいましたこと、深くお詫びし訂正 させていただきますネ。。

 さて、白い砂浜・青い海におもいきり後ろ髪を引かれる付録:平をよそに、 ホテルに荷物を置くや否や、脇目も触れず一目散に会場のあるウェスティン・ スタンフォードへ向かうところは、さすが、親衛隊長であります。そこで首尾 良く(大嘘!)手続きを済ませ、参加証を手にするや、今度はなにコラ最初の ステージのあるラッフルズホテル内ジュビリーホールへ。開演までのひととき をラッフルズの中庭で過ごしつつ、淑女二人の話題は専ら、帰国までに何を食 べるべきか、ということばかりでありました。ラーメンにチャーハンに飲茶に マレー料理にハイティーエトセトラエトセトラがわたしたちを呼んでいる!必 ず行くから待っててね *^^* とグルメ本に向かって誓う淑女。まったく何 をしに来たんだか・・・「本隊」のみなさまごめんなさい。

   ここまで書いて、編集長におもいきり「巻き」を入れられる夢を見てしまい ました。いかん。さっさと「本題」に参りましょ。

 なにコラのステージはトータル3回ありました。

  1. MEET THE CHOIR
  2.  8/16(木) 2:30PM〜4:00PM
  3. EVENING CONCERT
  4.  8/16(木) 8:00PM〜
  5. LUNCHTIME CONCERTS
  6.  8/17(金) 12:00PM〜
1.では、なにわコラリア−ズの簡単な紹介があり、続いて日本の男声合唱史の 概略が述べられました。日本において、それぞれエポックを築いた作曲家とそ の代表作品が、演奏を交えてほぼ年代順に紹介されていました。この「MEET  THE CHOIR」は、2と3のコンサートと違って、日本のカルチャーとしてのコー ラスを「解説する」ということに重点が置かれていました。ひらたく言えば、 コンサートよりも「カタクルシイ」ステージで、したがってギャラリーは大変 少なく、しかもホールは大変デッドときておりまして、私達応援団は手に汗を 握りながら鑑賞、いやほとんど応援している気分でした。ここはひとつ、黄色 い声援でもぶっとばしたいのはヤマヤマでしたが、そこは淑女。コブシを握り しめてぐっと我慢したのでありました。

この時のプログラムと、その解説をざっとご紹介しましょう。
各2段目が、紹介された作品です。

●清水 脩 :
 日本における西洋スタイルの男声合唱の創始者
 『ピリカピリカ』
●多田 武彦:
 日本人独特の感情を男性合唱にとり入れた異端の作曲家
 『さくら散る』
●間宮 芳生:
 日本民謡を男性合唱にとり入れた作曲家・編曲家
 「合唱の為のコンポジション vol.6」より 第1番 ※ここで、「オキシデンタル」ということばが連発されていたように思うので すが、それってなんだろ?「酸素」の形容詞か、はたまた「歯」が関係あるの かな?などと馬鹿な想像を膨らませておりましたが、さすがに隊長にはよう聞 かんかったです。ご存知でしたら教えてください。
《編集長註:おそらくoccidental、西洋の、西洋人の》
《ヤマサキの独り言・・・そんなん、言うてたぁ?全然聞き取れてへん・・な さけな。》
●石井 歓:合唱が多様性を帯びてきた60年代の作曲家
 『神舞い』
●新実 徳英:ニュージェネレーションの作曲家
 『南海譜』
●松下 耕:同上
 『北海盆唄』『会津磐梯山』『八木節』

 これらの感想は、3ステージの中でもメインイベントであった、2.の「 EVENING CONCERT」での演奏模様と合わせて、われらが隊長のコメントを待ち ましょう!

 といいますのは、最も印象的だったのはなにかと聞かれれば、平は迷わず「 演奏終了後にキレイなオネーさんから花束を受け取った時の我らが指揮者の満 面の笑顔」と答えてしまうからです。旅行中、淑女二人は、被写体になったこ とはあったかもしれんが(あるわけないやろが)自ら写真を撮る機会は一度も なく、シンガポールの美しい街並やビンタンの自然や、さらにはわれらがヤマ サキ隊長の輝ける水着姿(だれだそこで鼻血を出しているのは!)を目にして さえ、そんな気にもならなかったのですが ≪又もやヤマサキの独り言・・・ 平チャンのナイスバディの前には・・二着も見せてもらったもんねー。うわ・ ・鼻血出そう・・こらこら≫、このときばかりはカメラを持たずに来たことを 地団駄を踏んで後悔いたしました。この百万シンガポールドル(あ、米ドルよ り安くなってしまった)の笑顔を、わたくしたちはまた見ることができるので しょうかねぇ・・・ともあれ、なんともいえない“素敵”な笑顔でした。ねっ、 ヤマサキ隊長! --------------------------------------------
≪ここで、ヤマサキの割り込み≫

   何時の間にやら隊長に祭り上げられておりますが・・・このイブニングコン サートでは、‘よどこん’懐かしのメンバーである和田(旧姓:梶)孝子チャ ン一家にお目にかかりました。そう!敏チャンの妹さん。ご主人の駐在に伴い シンガポールへ来て早や何年?愛娘:祥子ちゃんのお顔も初めて拝ませて頂き、 しかしそれを除けば 見た目も何も まーーったく変わらない孝チャンに、自分 の年輪が増えたことを忘れさせてもらえました。元気そうだったよーーー。い や、更にパワーアップか!?

   演奏の方の感想も一言。  とにかく「日本の男声合唱」という観点からのステージ構成だったので、音 楽全体のトーンがなんとなく似通っていて、古来の日本の旋法が陰影を帯びて いるものだと改めて思いました。
その中で、私が秀逸だと思ったのが『さくら散る』・・・過去、この有名男声 合唱曲は何度となく聴きましたが、私の中の「一番!」になりました。(帰っ てきた時は「三本の指に入る」、とか言うとったクセにぃー・・笑)桜の花び らがハラハラと散っていく様が あのデッドなホールででも目に浮かぶようで した。音の陰影が人の生の哀しみを帯びたような。。。久々、ぐぐっ・・とき た。伊東サンの指先から花びらが零れ、歌声から哀しみが零れる・・・コレを 聴けただけでもシンガポールへ来た甲斐はありました。酸いも甘いも噛み分け た「大人の男」の演奏でした!
たまらんーー☆ 以上、「ここだけ」親衛隊長を自認してしまうヤマサキでし た。
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あ、平にも書かせて!

♪ちるちる、おちる、まいちるまいちる・・・・(ここで、指揮者の手がはら はらとこぼれ落ちるかの如く舞う・・・)
この場面、日本人なら皆、“ぐっ”ときてしまうこと間違いありません!ヨー ロッパでは‘You look Vietnamee’を連発され、新宿ではアジア人に道を尋ね られたこと数知れずの平も、やっぱり日本人であったのね!嬉しいアイデンテ ィティの確認でありました。ああ、日本人でよかった!

 さて、インタミを挟み、続いて登場したのは、 「Taipei Philharmonic Chamber Chor」です。はっきり言って成り行きで聴い たに過ぎないのですが、とても素晴らしい演奏でした。中でも、台湾の若き作 曲家、許雅民(Hsu Ya-ming)による、四楽章で構成された大作『六月の雪』 は、大変印象的でした。パンフの解説によりますと、漢王朝時代の有名な悲劇 をモチーフに作曲されたそうです。合唱曲にもかかわらず動きがあったり民族 楽器が多用されたりと、演劇的要素がふんだんに盛り込まれていて、ストーリ ー性も高く、聴衆をどきどきわくわくさせるステージでした。勿論、合唱のレ ヴェルも非常に高い。
 特に感心したのは、あのデッドなステージをはみ出して歌うことにより、立 体感が出て、臨場感がぐん増したことです。ホールに恵まれない国の作曲家だ からこそ、いろんな実験的な試みをするのでしょうか。そういえば、武満もい ろんな試みをしてましたよね。
 終演後、ロビーで「夜來香」の麗しきソリストを発見した二人は、淑女をあ っさり返上し、平に至っては怪しい無国籍アジア人になり下がり、さながら蛍 光灯に吸い寄せられる虫の如く彼女に突進し「ブラッヴォー!!」を連発して おりました。しかし、なんて楚々として美しいんでしょ!!しかも声がまた「 どっからでてんねん」という可愛さ!!暫しお話しをしただけですっかり舞い 上がってしまう単純なわたしたち。以後しばらくヤマサキ隊長の鼻と口からは、 「いぇいらいしゃ〜〜ん」のメロディが漏れつづけておりました。
 そんなこんなの、いろんな幸せをいっぱい胸にし、指揮者の笑顔にも劣らな い満面の笑みを浮かべた淑女二人は、当然まっすぐ帰路にはつかず、深夜の街 をふらふらとラッフルズホテルのバーまで歩き、例のシンガポールスリングを 飲みながら、これまた例の如くピーナツの殻を床に投げ捨てて、きわめて淑女 らしい一日を終えたのでした。しかしこれを書きながら思い出したのだが、シ ンガポールスリングを一緒に飲みましょうねって固い約束を交わしたというの に(どんな約束や?!)ヤマサキ隊長は別注でしたね・・・ま、いいか。‘し らふ’で、ピーナツの殻だけはがんがん床に投げておられるヤマサキ隊長の御 姿もまた、カメラに収めたいワンシーンでありました。
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≪ここで タッチ交代。再び、ヤマサキの登場です≫

 日付が変わるまでバーで呑んでいた淑女の翌朝は、爽やかな?目覚めととも に、ビュッフェでしこたま朝食を詰めこみ、いざ、朝イチのプログラムへ。
 発声に変わる「みんなで歌いましょう」というようなコーナーで、その為だ けの立派な楽譜も配布されており、シンポジウム初日からこれを歌い続けてい たようだが、私ら二人は いきなりの初見で好き放題歌っておりましたが、キ モチえかったァ。隣の外人のおっちゃん、朝から朗々とメチャ気持ち良さそう に歌っておられ、こちらまで楽しくなりました。

 その1時間弱の声出しのあと、いよいよ朝のセミナー開始。
 色んなプログラムが組まれていて、私達も日本にいる時に 参加希望のプロ グラムを提出してました。今回、講師としてこのシンポジウムに招かれていた 松下耕センセのプログラム。 前夜のイブニングコンサート終演後、ホールで 耕チャンにお目にかかり「よどこんの・・」としっかりご挨拶した後、「明日 のセミナーに お伺いしますね!!」とまで申し上げてた私達。しかーし、変 わり身早い私達は、シンポジウムパンフに掲載されていた招聘団体のプロフィ ールを読んで是非とも聴いてみたいと思った「TOWER VOICES NEW ZEALAND」と いう、ニュージーランドの若手合唱団が登場すると思しきプログラムに急遽変 更。 それもこれも、余りに時間の無いシンポジウム参加の所為ですが、これ が 本当に素晴らしかった。 ホールのデッドさ加減など比べ物にならないくら いヒドイ音響のホテル宴会場の一室で行われたセミナーだったにも拘らず、タ マに歌ってくれる彼らの声は 一人一人の体が(朝にも拘らず)しっかり鳴り 響いていて、いきなり「さぶいぼ」が立ちました。
 内容的には・・・あ、こっから平隊長、お願い!!
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 ≪以下文責:平≫
 どこまでも隊長の擦り合いをする私たち。まあ、どう読んでも‘ヒラ隊長’ です、サマになりませんからやめてっ!!
 耕ちゃん先生の講義をなぜ急に取りやめ、「TOWER VOICES NEW ZEALAND」の クラスに変更したのか、平はどうしても思い出だせないのですが、ヤマサキ隊 長にくっ付いて行けば間違いないと確信していたのでしょう。なまじ根拠のな い確信は信用すべし。野生のカンは当たる。これは平の行動の基本であります。 ヤマサキ隊長、計算ずくだったなら許して!!

   さて、このレクチャーは講師二人によって進められました。「TOWER …」の 指揮者である、小柄でシャープなカレン・グリル女史と、もうひと方はニュー ジーランド・アボリジニーの血を引くアロハ・キャシディ女史。われわれ二人 を足して1.5倍してもまだ足りないくらいの圧倒的存在感を放つアロハ女史に よる、身振り手振り付きのパワフルなニュージーランド英語を、とても理解す るには至らなかったものの、講義内容はざっと以下のようであったとおもいま す。

   レクチャーのテーマは‘SYMBIOSIS’。
 恐らくSYNとBIOの合成語で、「共生命性」とか「同時生命性」とかいう意味 でしょう。
 今自分たちが歌を歌っているという事実を少し掘り下げて考えるとき、コー ラスの歴史を考えることもできるが、歌っている一個人の背景を無視すること はできない。中でも重要なのは、各部族によって築かれてきた独自のカルチャ ーという背景である。個人が歌をうたうとき、自分の持つ経験を背負わずに歌 うことがあり得ないように、そういった歴史を全く背負わずに歌うということ もまたあり得えない。必ず“血”が歌っているという部分がある。ニュージー ランドの場合(オーストラリア・オセアニア周辺地域も含めて)アボリジニー との混血は絶えず繰り返されてきたわけで、もし自分の祖先は白色系の純血で あるという人も、その文化を素通りして今に至っていることはありえない。ど こかでアロハ女史の祖先であるマオリ族のカルチャーを見たり聴いたりして‘ 体験’しているはずであり、それは必ず遺伝子によって受け継がれ、‘血’に よって記憶されているはずである。
 ニュージーランド・アボリジニーのマオリ族は、戦闘的な狩猟民族で、独自 の文化が今もたくさん残されているが、集団社会生活を営む上でなされる、狩 猟・戦闘・農耕・交配といった基本的行為や、あるいはそうした生活の一部が 子供の遊びにとり入れられるといったことは、ほぼどの文化圏においても共通 して見うけられる。皆で力を合わせて狩をしたり村を守ったりという営みの記 憶は、洋の東西を問わず共通しており、それらを表現するという体験は、地域 性や時代性を問わず、必ず共感できうるものである。

   とまあこんな感じのことが述べられていたのでしょう。(大嘘やったりして。 )
 蛇足ですが、このレクチャーを聞きながら、わたしはとある民族学者のこと ばを思い出していました。すなわち、「首狩族(くびかりぞく)は合唱が上手 い」。
 狩猟民族は農耕民族より歌が断然上手いことに気付いた某民族学者は、究極 の狩猟民族、首狩族のフィールドワークに乗りだし、彼らの‘合唱’レヴェル の高さに舌を巻いたそうです。つまり、「首狩」というのはその部族の存続が かかっている命がけの行為で、到底ひとりの力でできるものではない。それを 上手くやりおおせるには、皆の‘息’をまず合わせねばならない。よって、い ざ首狩に出陣する暁には、皆の気持ちをひとつにすべく、充分に‘合唱’をし てから出発するのだそうです。そして偶然か必然的結果か、合唱が上手くいっ た日には、首狩は必ず成功するのだとか。やっぱり合唱の原典は、‘息を合わ せる’ことなんですねぇ。

   さて、講義の後半は、マオリ族の典型的なカルチャーである‘poi’(マオ リ独自の武具で、ボクシングのグローブに紐をつけたようなかたちをしている。 オーストラリアン アボリジニーのブーメランみたいなものか?)と‘haka’ (恐らくマオリ独自のスポーツで、元々は戦闘形態から発展したものとおもわ れる。‘型’らしきものがあるところ、日本の空手のようなものか?)の紹介 がまずなされ、続いて、『I te Timamatanga 』という作品によってそれらが 実演されるのですが、この実演、オイシイ部分をサワリしか聴かせてもらえな かったにも関わらず、我らはすっかり心を奪われてしまったのでした。全身楽 器人間を目の前でナマで体験した。しかもそれが32人!!小さな会議室にいっ ぱいあふれる音のシャワーを一瞬にして浴びせられ、くらくらめまいがするほ どの体験でありました。この本編を聴かずして日本へ帰れるかぁ!二人の気持 ちは暗黙のうちにひとつに・・・(げっ)

 講義の終盤、「TOWER…」の団員たちは、実に自然に各々の意見を述べてい ました。総じて、「こんなこと(‘poi’や‘haka’の習得のことでしょう、 多分)を何故やらなあかんねん、とおもった」。そりゃそうでしょう。彼らも 歌い手。なんでブーメランや空手をせなあかんねん?!とおもうでしょうね。 しかし、自分たちの祖先がどこかでしている‘経験’や‘体験’のルーツを確 認し深めるといった経験は、結果的に彼や彼女たちの音楽性を深めることにな ったようです。うーん、ここでもテーマはアイデンティティの再確認だわ!!
 最後に、グリル女史が締め括られたことばがまた感動的でした。
 「皆さんもいろんなカルチャーを体験してください。そしてそれを伝えてく ださい。」
 わかりましたわ先生!ここでわたしたちがした体験は、必ずだれかに何らか のかたちで伝わり、何らかのかたちで残っていくのですね!それが文化という ものなのですね、先生!!(うるうる)

   しかし、こんなんでちゃんと伝わってるとはとても思えませんねぇ、ヤマサ キ隊長。。。
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≪矛先を向けられたヤマサキ、又もや登場≫

 へぇ〜〜・・・そーゆー内容の講義をしてはったんや(冷や汗)。セミナー 終わった直後、「英語、サッパリやったわー。」と平隊長に申し上げたら「あ、 私も!全然わかんなかったねー」と仰っていたのに、ま、そのお言葉を額面通 りには受け取らなかったものの、すごい、すごすぎる。。。100万歩譲って 上記の内容が出鱈目だったとしても、ヒアリングした内容を上記まで纏めるな んざー、恐れ入りますゼ。お蔭様で、私も帰国後に セミナーの内容を深める ことが出来ました!

   それはさておき、この余りの素晴らしさに、夜のコンサートは何がナンでも 聴きに行こうと決意を新たにし、午前中のセミナーを終えました。

 そしてすぐ、場所を移してランチタイムコンサート。なにコラの出番を聞き 逃すまいと、昼食も後回し、その足で聴きに参りましたが、さすがにオツカレ でしたよね・・一日半で三度のステージ。本当にタイヘンだったと思います。 終演後、林サンが「あと4〜5時間しか時間がないんや」と言っておられたの を聞いて、私達の“3時間もかけちゃった”全身エステの時間を分けて差し上 げたくなったのは 平隊長も同じだったことでしょう。(思てへん、思てへん )
 そこにも孝チャンが幼稚園帰りの祥子チャンを連れて足を運んでくれていて、 ご自宅へお招き下さろうとしていたんですが、いかんせん時間のない物好き隊。 泣く泣くご辞退申し上げました。  
今度こそは・・・ !え?やっぱし「また」行くおつもりなんスかァ?平隊 長!? 

 さて、ランチタイムコンサート終演後から夜のクロージングコンサートまで の諸々は割愛させて頂くとして、その夜のコンサート。

 実は、私達はツアーで参りましたので、観光等も全てキャンセルの「フリー 」行動で 大きな移動時のみピックアップしてもらう、というスケジュールで した。この最終日、深夜便でシンガポールを飛び立つため、滞在していたホテ ルロビーに夜9時の集合を申し渡されていた我ら。
 しかし、夜のコンサートは毎夜「8時開演」。昨晩の「なにコラ+Taip ei」の終演時間も10時半過ぎだったと記憶していたので、最後までは聞け ないとは覚悟していたものの、空港でのチェックインも自分達でするから・・ と、最後の集合すらキャンセルして、午前中のほんの少しの歌声で魂を奪われ た「TOWER VOICES NEW ZEALAND」の演奏を聴きに参りました。
 しかし、この団体の前にインドネシアの少年少女合唱団の演奏があり、時間 は刻々と過ぎていく。いや、この少年少女もタイヘン素晴らしい演奏で、倍音 鳴り捲りでした。彼らも郷土色を強く打ち出した音楽を 独特の発声で聴かせ てくれましたが、素晴らしいの一言に尽きます。 こういうものを聴くことが出来るのが、シンポジウム参加の醍醐味ですよね。

 しかし、しかーし。時間は非情にも過ぎていくのです。その、目指す「 TOWER・・」が出てきて歌い始めた一曲目、「これで万一 飛行機に乗り遅れて も、後悔は せーへん」と思わされました。(こーゆーの、なんとかバカ、っ ていうのん??)
 期待はしていたが、その期待を遥かに上回るもので、天使のようなソプラノ と 大地に根ざすドッシリとしたベースに挟まれて、見事なハーモニーが紡ぎ 出されていました。素晴らしい技術に裏打ちされた若い透明感のある声と、そ れを自由自在に 聴いている者がシアワセになるような音楽にしていく老練な グリル女史。「至福の一時」とは こういう時間をいうのね・・と素直に思え る彼らの演奏。ホンマ、なにコラのお蔭で エエもん聴かせてもらいました。 (ウン!?)
 ただ、最後の一曲を残して、私達自身がタイムリミットとしていた時間にな り、ホールを後にせねばならないと意を決して平隊長を見ると、隊長は一言「 これを聞かずに帰ったら、一生後悔するよね!」・・・流石は隊長。おそれい りました。
(平:いやあ、最後の‘型’もばっちり決めてくれたし。一生後悔せずにすみ ました。よかった*^o^*)

 こうして彼らの演奏を最後の一滴まで聞き終え、トリをつとめる地元団体の 演奏は流石に諦めて一路空港へ。私達のタダならぬ表情で事情を察したタクシ ーの運ちゃん、私達の出発時刻を聞き驚愕した後、飛ばす飛ばす!(今どき日 本の車では余り聞かれなくなったが)キンコンカンコン鳴りっぱなしの車内で、 お気楽に「TOWER・・」の余韻に浸っていた物好き隊。あーあ、付けるクスリ 無い奴って、こーゆー淑女達のことを言うのねぇ。。。
 お蔭様で、予定の飛行機に無事乗りこみ、こうして 恙無く平常の生活に戻 っておりますが、平隊長が「最後の搭乗手続き者二名」であることを伝えられ たチェックインカウンターでのたまった一言を、私は忘れることはないでしょ う。。。「これが、正しいツアーの楽しみ(使い切り)方ねっ!」・・・隊長 !ヤマサキは どこまでも貴方についていきますぜぃっ!!
(平:実をいいますと、わたしは飛行機というのは待ってくれるものと思いこ んでいたんですね。だから、一人で行っていたら、最後の団体も聞いていたこ とでしょう。ヤマサキ隊長、連れて帰ってくれてありがとう!!)

 でも、今度は もうチョットだけ「食文化」も楽しみたいわよね。
 「三度の飯」より「ステキなコーラス」を取った我ら。あの食道楽の国へ行 き、ガイドブックでCHKが入っていたのは食にまつわるページのみだったに も拘らず、ヒト様に自慢出来るほどのモノを殆ど何も食べられずに帰ってきた のが、淑女の仮面を脱げば 単なる「食いしん坊」の物好き隊としては意外な 結果でございました。え??だから、やっぱり「また」行きはるんスかぁーー ?平隊長!!!!!
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≪なぜか締めることになった平です、みなさま、本当におつかれさまでした。。 ≫

   早くも2002年ミネアポリスの案内が来ておりますが。「夜來香」の彼女にま た会えるんだわ!!その前に隊員増やしましょね。隊員資格:物好きであるこ と(そのまんまやないの)。我こそはと思われる方、ヤマサキ隊長までご一報 くださいませ☆

PS:これ以上、プラザを席捲することは許されじ。ということで、「ビデオ …」はお休みでございます。


  ●木寺洋介の合唱連盟便り●

大阪府合唱連盟21世紀ビジョン(第3回)

2.5 大阪府連の現状のまとめ

前節までの現状を踏まえ、大阪府連の現状をまとめると下記のようになる。

  1. 「合唱祭」を最大の主催事業として開催している。
  2. 「合唱祭」は大阪府連主体の事業であり、加盟団体の80%前後が何らかの 形で参加するビッグ・イベントとなっている。
    内容的には、6分程度の加盟団体の演奏を、次々にステージ上で展開する方 式が中心であり、この中に、中学、高校、大学の各部会の合同ステージ、おか あさん部会の企画ステージ、「みんなでうたおう」コーナーなどが組み込まれ ている。
    多くのおかあさんコーラスは、併催されている「全日本おかあさんコーラス 関西支部大阪大会」に参加する形で、「合唱祭」に参加している。
    事業会計としては、ほぼ収支均衡している。

    (木寺注;この「21世紀ビジョン」は本年4月に報告されたものです。従っ て、ここに記されているのは昨年までの合唱祭の状況であり、今年の合唱祭は この「21世紀ビジョン」の提言を受けて企画されたものとお考え下さい。)

  3. 全日本主催の「コンクール」および「おかあさんコーラス大会」の地区選考 を実施している。
  4. 全日本合唱連盟が主催する「全日本合唱コンクール」の地区予選としての「 大阪府合唱コンクール」、および全日本おかあさんコーラス大会の地区選考会 としての「関西支部大阪大会」を実施している。すなわち、全日本主催行事の
    「地区選考」という役割を果たしている。
    事業会計としては、「大阪府合唱コンクール」は赤字であり、一般会計から 35万円の補助をしている。
    「全日本おかあさんコーラス関西支部大阪大会」の事業会計は合唱祭に組み 込まれており不明である。

  5. 関西合唱連盟および全日本合唱連盟主催の各種イベントに協力している。
  6. 「高野山」、「レディス」、「バッカス」などの関西合唱連盟主催の行事、 および「コーラスワークショップ」、「おかあさんカンタート」などの全日本 合唱連盟主催の行事を協力して運営している。これらは府県連で回り持ちにな っており、担当の年は、企画から運営まで、かなりのエネルギーを投入してい る。

  7. 全日本の機関誌ハーモニーを加盟団体へ斡旋・販売している。
  8. ハーモニーを、高校の部以上の団体に対して、年4回・各2冊の計8冊を、 加盟費の中で販売し、さらに追加販売活動を実施している。

  9. 地域の行政が主催する事業への協力窓口となっている。
  10. 大阪府、大阪市、あるいは近隣の市町村が主催する事業に合唱が必要な祭に は、その協力窓口となり、加盟団体の出演を斡旋している。

  11. 加盟団体名簿の発行、大阪府連のホームページを運営している。
  12. 加盟団体の名簿を合唱祭のプログラムに組み込んで発行し、加盟団体に対す る便宜を図っている。
    さらに大阪府連のホームページを運営することにより、よりタイムリーでフ レンドリーな情報提供、情報交流機能を提供している。

  13. 加盟団体の構成は、「おかあさん」、「一般」で65%を占めている。
  14. 「おかあさん」と「一般」で65%、中・高・大の学生は10%程度、ジュ ニアと職場が3〜4%となっている。

  15. 一般会計は堅実予算、合唱祭は収支均衡、大阪府合唱コンクールは補助を必 要としている。
  16. 財政的に見ると、一般会計については定常業務中心型で、リスクの少ない堅 実予算となっている。
    事業会計では、合唱祭は収支均衡。コンクールは、中高対象である故に参加 料が取りにくく、一般会計から4割以上を補助している。

  17. 一般会計の内、全日本へ納める資金が半分以上あり、財政的には下部組織の 色合いが強い。
  18. 「ハーモニーの仕入・販売」、「名曲集の仕入・販売」、「全日本の会費」 など、全日本がらみの資金の流れが半分以上ある。
    中高の加盟費は大部分を全日本に納めるなるため、大阪府連独自の運営は、 大学生以上の加盟費の差額7千円から8千円で成り立っている。

3.アンケートの集計結果

平成12年4月の総会時において「大阪府合唱連盟21世紀ビジョン策定に 関するアンケート」を加盟団体に配布した。以下に、その回答の集計と分析結 果について述べる。

3.1 合唱祭の参加状況

88%が「ほぼ欠かさず参加」と回答しており、府連の行事として、広く支 持されていることがわかる。

3.2 秋のコンクールの参加状況

「ほぼ欠かさず参加」が27%、「時々、参加」が11%となっている。
両方合わせても38%であり、大多数が参加する合唱祭とは様相が異なるこ とがわかる。

3.3 大阪府連に加盟している目的

「合唱祭に参加したいから」が142件(85%)と最も多く、合唱祭の参 加状況を裏付ける結果となっている。
続いて「自分が入団する以前から加盟していた」80件(48%)、「関西 合唱連盟が開催する行事に参加したいから」72件(43%)、「コンクール に参加したいから」59件(35%)となっている。

3.4 大阪府連に要望したい事業

選択式の回答については、「加盟団体の演奏会情報の提供」が75件(45 %)と最も多く、続いて「公開練習の実施」71件(43%)、「講習会、研 修会の実施」68件(41%)、「楽譜やCDライブラリーの整備」66件( 40%)、インターネットを利用した迅速な情報提供・情報交流」59件(3 1%)となっている。
すなわち、加盟団体は、府連に対して
・情報提供、情報交流、情報バンク機能
・公衆・研修機能 を強くもとめていると言えよう。
なお、インターネットによる情報提供・交流支援事業は、2000年6月10日 より実施されており、上記の情報提供、情報交流がネット上では実現されてい る。府連ホームページを媒介として、加盟団体からの情報提供依頼、問い合わ せなども発生している。
その他の自由意見として、下記のような要望があった。
・練習会場、合宿所、演奏会場に関する情報提供、斡旋
・発声・著作権に関する講習会
・話題の曲を、その都度、団員を募集し、指揮者も曲に応じて代えながら歌 う会
・ジュニア対象の事業
・海外などの優秀な団体の招聘と演奏会の開催

3.5 合唱祭に関する自由意見

アンケートの中には合唱祭に関する自由意見が多数書かれていた。主な物は 次の通りである。

  1. 合唱祭の意義

  2. 「練習成果の発表の場(特に単独演奏会を開催できない団体)」、「他団体 の演奏を聴く場」、「新しい指揮者のデビューの場(大学生)」などの意義を 指摘する声が多いが、加えて「世代を越えて交流できる場」との意見があり、 まさにこれこそ、他の演奏会では実現できない、合唱祭ならではの重要な特性 として認識すべきであろう。
  3. 会場について

  4. 豊中市民会館の音響に対する不満が多数あった。
    また南大阪の合唱団からは、遠距離を指摘する声もあがっている。
  5. 聴衆が少ない

  6. 聴衆が少ないので、何か対策はとれないか、との意見がある。
  7. 内容について

  8. 演奏の講評が欲しいとの意見がある。
    また、次々に団体がベルトコンベアー式に出てきて歌うだけではつまらない との指摘がある。
    現在の合唱祭のスタイルを再考すべき時期にきているのかもしれない。
  9. 運営全般について

  10. 演奏時間制限、大学生中心の運営、キャッチフレーズの軽さ、などに関して 再考を求める意見があった。

3.6 現在の府連の問題点

下記のような自由意見が寄せられた(アンケートに記載された原文を引用)
・連盟の活動が、加盟団体および加盟団体の一人一人から見えにくい。(伝わ っていない)
・事業がマンネリ化している。
・有力団体、大規模団体に偏重せず、むしろ底辺の団体、小団体にスポットを あててほしい。
・合唱のスタイルが多様化しているにもかかわらず連盟が柔軟に対応できてい ない。
・小人数団体に対する加盟費負担が重い。
・財政を健全化、自主財源の拡充が必要。
・合唱祭、レディースコーラスフェスなどでの時間制限の柔軟化
・コンクールの審査員の人選(決定機関の明示、指揮者を多くetc)
・ハーモニーの内容改善
・情報受発信機能の充実化
・講習会、研修会の実施(特に指導者の育成)
・大学部門の振興策
・南大阪エリアでのイベントの開催

3.7 21世紀の府連に期待すること

下記のような自由意見が寄せられた(アンケートに記載された原文を引用)
・合唱人口の増加策
・若年層の合唱活動参加促進
・若いお母さん層の参加促進
・高齢者層の合唱活動の充実化
・合唱の社会的地位の向上、浸透
・底辺、小さな合唱団の支援
・講習会、研修会の充実化
・各団の演奏会支援
・委嘱活動
・情報提供、交流支援
・他の音楽領域との交流
・国際化への対応
・合唱を通じた地域、社会貢献
・南大阪エリアでの事業実施zf
・風通しの良い府連の体質
・40周年記念事業

※次回は「4.大阪府合唱連盟の問題分析」を掲載します。


How do you do?

こまっちゃんの
●How do you do?●

7月の演奏会から,早くも2ヶ月近くが経過しました。 皆さんの感想はいか がですか?
個人的には,1月以降業務多忙が続き,オンステ自体が危ぶまれた中,3ステ ージ中2ステージを暗譜で臨めたことは大きな自信になりました。技術的には まだ改善するところが何点かはあるかと思いますが。また演奏会当日は,休・ 退団したアルトメンバーの何人かに久しぶりに会うことができ,大変うれしか ったです。休・退団者の方には,ステージ衣装を貨していただいたり,裏方の 仕事を手伝っていただいたりしています。この場を借りてお礼申しあげます。

さて,強力な男声の新入団者あり,電撃結婚ありの今回の「How do you do?」 をお送りします。また新人パートマネージャーFくんもデビューを飾っており ます。女声の新入団者は次回紹介します。

※本コーナーはプライバシー保護のため、ONLINE版には若干の制限を加えています。


Infomation

●わしざきはるの演奏会情報●
−心の財産をみつけよう−

6月某日、ある女性から、是非是非馳せ参じたい、素晴らしい演奏会の情報を いただいてしまいました!!
会場が遠いけれどすごーく聴きに行きたいな・・・ところが演奏日が、コンク ールのよどこんの出番の日とぶつかっています。うわあー、惜しい。でもこれ も、合唱を通じてひらけた世界が大きくなってきたことの表れだと思えばいい ですよね。この演奏会の存在を知ることができるだけでも本当にラッキーなん だから。
私達もコンクールででは、世界中にものすごくたくさんある愛すべき対象を感 じながら、「私達のうた」をしっかり歌いましょう。遠方での演奏会、いつま でも心にひびくものになりますように。

SEPTEMBER・9月
 8・土 北村協一先生バースデイ記念コンサート 東京芸術劇場大ホー ル
 8・土 京都大学合唱団創立70周年記念演奏会 京都コンサートホー ル大ホール
 9・日 大阪府合唱コンクール中学高校の部  ・・・伊東恵司さんが審査員されます 池田市民文化会館アゼリ アホール
15・土 大阪府医師会合唱団 いずみホール
16・日 大阪府立春日丘高等学校音楽部 吹田市文化会館メイシアター
16・日 京都シティーフィル合唱団 京都コンサートホール大ホール
19・水 英国のねいろZ〜イギリスの人々〜 甲東ホール    
23・日 第56回関西合唱コンクール中学高校の部 伊丹市立文化会館い たみホール
23・日 甲南大学グリークラブ 神戸国際会館こくさいホール
24・月 女声アンサンブルJuri 韮崎市文化ホール大ホール
29・土 女声合唱団コーロ・アロードラ いずみホール
30・日 大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団   千原英喜 混声合唱のための「おらしょ」他 京都府立府民ホールアル ティ
OCTOBER・10月
 7・日 コロフェスタ2001神戸  ・・・合唱団葡萄の樹が参加します 神戸文化ホール中ホール
 8・月 洛南高等学校グリークラブ 京都会館第2ホール
13・土 第56回関西合唱コンクールおかあさんの部 池田市民文化会 館アゼリアホール
13・土 女声合唱団りんどう みつなかホール
14・日 福永陽一郎先生追悼演奏会  「陽ちゃんといっしょin藤沢」 神奈川県・藤沢市民会館大ホール
14・日 第56回関西合唱コンクール一般の部 池田市民文化会館アゼリ アホール
21・日 第56回関西合唱コンクール大学職場の部 池田市民文化会館ア ゼリアホール
21・日 クローバークラブ いずみホール
21・日 女声アンサンブルJuri 東京・浜離宮朝日ホール
27・土 全日本合唱コンクール全国大会高等学校部門 名古屋市民会館 大ホール
28・日 全日本合唱コンクール全国大会中学校部門 名古屋市民会館大ホ ール 
29・月 大阪新音フロイデ合唱団  G・フォーレ「レクイエム」 ザ・シンフォニーホール
NOVEMBER・11月
 3・土 第28回関西六大学合唱演奏会   ・・・伊東恵司さんが合同演奏指揮されますフェスティバルホール
 4・日 バッカスフェスタ 伊丹市立文化会館いたみホール
11・日 神戸市役所センター合唱団 神戸文化ホール中ホール
24・土 全日本合唱コンクール全国大会大学・一般A 福島県・郡山市 民文化センター
25・日 全日本合唱コンクール全国大会職場・一般B 福島県・郡山市 民文化センター


 
●練習予定表●

今回から、うずちゃんの後任として『内政』を担当することになりました。 
『内政』とは恐ろしい呼び名ですね! 私は単なる.「練習場予約係」。 『
内政』なんてと〜んでもない・・・笑。 とは云え、前任者のご苦労をかみしめている昨今です。 行き届かない点も色 々あると思いますが、よろしくお願いします。

9月 9日(日) 13時〜17時 ミ−ド社会館
9月16日(日) 13時〜17時 ミ−ド社会館
9月23日(日) 合宿 詳細未定
9月24日(祝) 合宿 詳細未定
9月30日(日) 13時〜17時 ミ−ド社会館
10月8日(祝) 13時〜17時 相愛学園
10月13日(土) 13時〜17時 桜の宮ア−トホ−ル
10月14日(日) 関西合唱コンク−ル

※場所・時間が変更される事がありますのでご注意ください。



●編集後記●

 すみません、紙面の都合上、こんなところに編集後記がきてしまいました。
 今回は、シンガポールまで「追っ掛け」をしてしまった「彼女たち」の膨大 なレポートが紙面を埋め尽くしました。 締め切り間際に原稿依頼されて資料 を探して下さったやぐちさんもありがとう。 今回初めて原稿を書いてくれたMさん、いつも原稿を書いて下さる皆さん、本当にありがとうございます。
 これからもよろしくお願いします。
 次回11月号の発行は、11月第1回目の練習日、原稿締め切りはその2週 間前です。


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