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VOL.38/September,1998

LINER NOTES  by Itoh Keishi

静岡に行ってきました

同志社グリークラブと静岡に演奏旅行に行ってきました。(私は「雪と花火」という 、とても叙情的な終曲を持つ思い入れの強い曲を指揮することが出来ました・・。)

研修を兼ねて某大学を訪問した帰路で、気付いてみると、何とはなく伊良子岬から鳥 羽へと渡る船に乗ってしまっていました。
折りしも、夕日が波間に落ちていく時刻で、私の他には一組の家族連れしか乗り込ん でおりません。
薄桃色に棚引く空と、金色の光の道を作っていく波間に視線を漂わせながら、捻じ曲 がった時間が手の届かない遠くに消えていくような錯覚に見舞われました・・。まさ しく「海に番った太陽・・」と叫びたくなる眩しい瞬間でした。
船の緩やかな揺れと白い波の飛沫は、印象深い夏の風景を私の記憶に残してくれまし た。

さてさて、個人的な感傷に浸るつもりはありません・・。

「よどこん」は、いよいよ20周年を目指した新たな取り組みに目覚めないといけま せんね。
第10回目の演奏会の評判はもちろん悪いものではありません。いずみホールの響き と雰囲気に助けられた部分が多いのは事実ですが、例えば、満員のお客様を集められ たこと・・。「Agnus Dei」が、緊張感の漲る演奏になったこと(テープを 聞いてみると粗が目立ちますが・・)。3ステがよどこんらしいリラックスしたステ ージになったこと・・。それと、全く脈絡のない幾つもの方面から「さとうきび畑」 の演奏を圧倒的に誉めていただいたことは、自分の手応えとぴったりと一致した感想 だったので私にはとりわけ嬉しいものでした。
それにまた、(アカペラ曲だったこともあって・・)本山先生も昨年よりもつっ込ん だ指導をしていただいたように思いますし、練習のプロセスの中で「よどこん」が得 たものは大きかったとも言えるでしょう。
しかし、演奏会の成功の陰に隠れてしまった幾つかの反省点を忘れては今後の発展は 有り得ません。

まず、今回の練習で繰り返し言われ続けたことを、もう一度確認しましょう。確認す るだけではなく、次回からは言われる前にもう少し個人レベルで意識を高めて下さい 。(ベーシックな事項ですので、まず個人個人で克服する努力をしましょう)

●母音の発音について(特に外国語)

  A …縦に口を開き(Oに近い感じ)深い音色にしましょう。
  E …縦に口を開き(Aに近い感じ)深い音色にしましょう。
  U …奥歯を噛んではいないでしょうか?

    …話し言葉と歌う時の言葉は完全に別だと考えましょう!
    …日本語と外国語の母音は似ているだけで全然別ものだと考えましょう!

● 音符単位ではなく、言葉単位で歌うことについて
    …語頭と語尾の区別!
    …長母音と短母音の区別!

● 中途半端にブレスをしないで、言葉を飛ばしてもフレーズを歌っていくことにつ いて、


   …それから基本的なことですが、今回暗譜を徹底しなかったことを私自身の反省材料 としています。
もちろん何でも暗譜という学生合唱の弊害については熟知しているつもりですが、本 番が迫ってきた練習中においても楽譜にしがみつく人が多かったことが残念でした。 難しい曲であったことを差し引いても、出来る努力はもっとするべきです。本質論か ら言いますと、暗譜自体にこだわっている訳ではありません。(東京混声のメンバー は譜面を持って歌っているでしょう)しかし、歌に慣れてない人ほど楽譜を見ながら 歌う術には長けていないはずです。例えばMISSA曲を何度も歌っている人にとっては 、言葉とイメージというのはさほどの苦労がなく一致しますし、暗譜が出来ていない 状態であっても楽譜を見ながら、指揮者の要求を理解し反応することがたやすいはず です。しかし、「よどこん」での終盤の練習を見ていますと、楽譜に噛り付いている 人の確率が高く、そのことが終盤での音楽的なつめや練習効率を甘くしたと言わざる を得ないと思います。もちろん、経験の浅い人を含めながら合唱の楽しみを追求して いこうというのが我々の団の姿勢であるはずですし、特に仕事や遠距離等で練習出席 が少ないにも関わらず相当な努力をされ楽譜を見てきていただいている方がたくさん あり、その事自体は「よどこん」の誇りとすべき点です。だからこそ、個人個人での もうひとふんばりの努力が「よどこん」全体のスケールアップにつながるのだと思う のです。

もちろんいきなり、ドイツ語を立派に発音しろというような高度な要求を出している 訳ではありません。
誰でも出来そうな下記のことを身近で具体的な「目標」として掲げましょう。

●一度言われた指示や自分の苦手とするポイントを必ず確認してから歌いましょう。

●楽譜の苦手な人・練習になかなか来れない人ほど早い時期にともかく楽譜を読み込 んでしまいましょう。
(指示を聞く余裕が出てくると思いますので・・)


発声という根本的課題(個人で課題にバラつきがあります)もさることながら、全体 練習としては、もう少しピッチの感覚と和音構成上の意識を高めていかなければなら ないと思っています。
本山先生曰くどのくらいの音量でハーモニーを作るかが、合唱団の実力に結びつくと のことです。小声で声を合わせる練習というものを経て、ダイナミクスレンジを意識 した音楽作りを目指したいものです。でも、その為にはよく響く練習場の確保という ものが必要になり、それこそ我々にとっての最優先課題なのかもしれないとも思いま す。堂々めぐりになりそうですが、まあ出来ることから始めねばなりませんね・・。


いずれにしても、私の「よどこん」や合唱に対する思いは第10回演奏会パンフに記 載した通りです。
一人でも多くの仲間が気持ちよく参加出来る環境を作らねばならないと思っています し、私自身の努力やアイデア・工夫も不可欠だと認識しています。私自身の試行錯誤 が上手く行かない時にはまた迷惑をかけてしまうかもしれませんが、一緒に「よどこ ん」を盛り上げてください。 良い音楽を作り、情感溢れる演奏をし続けることが「よどこん」における私の最大の 夢です。 次の10年が実り多い「よどこんの充実期」になるようがんばりましょう。


P.S
(その1)
コンクールの自由曲については恥ずかしながら自分でも驚くくらいに悩んでしまいま した。(ご相談にのっていただいた方多数、ありがとうございました・・)
他の曲に決めた後に、眠れずに(珍しく)目を覚ましてしまった事・・。北海道(ラ グビー部食中毒事件で単身乗り込みました)へ行く途中の飛行機の中でずっと「Ag nus Dei」が頭に鳴り響いていたこと・・。から、「きっと私はこの曲をやり たいに違いないんだ・・。」という結論に至った次第です。現状の「よどこん」がコ ンクールに持っていくにしては、ちょっとハードな曲であることは百も承知ですが、 一つ一つが「よどこん」にとっての大切な発表の場であることを考えた時に、「やり たい曲をやらせてもらう」という我がままをさせていただきました。自分にとっても 勉強のつもりです。勉強出来たことが少しでも将来の「よどこん」の役に立てばと思 っている次第です。
言葉とダイナミクスの感覚をもう少し繊細に磨いて演奏出来ればと思っています。( フレージングと和音感覚の勉強にもなります)

(その2)
ラグビー部食中毒事件で北海道へ行ってきました(上記)。朝から夜中までのハード な仕事の後で、またまた寄り道をして帰ってきてしまいました。道東の広い路面の端 にはもうコスモスが薄い色彩で咲いていました。

以上

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